TDKオーケストラコンサート2015

スペシャルインタビュー
五嶋 龍(ヴァイオリン)

五嶋 龍(ヴァイオリン)

――ヴァイオリンを始めようと思われた時に、それ以外の楽器やスポーツなどとの出会いはあったのでしょうか。

五嶋: ヴァイオリンは自主的に選んで練習を始めたものではありませんが、空手もそうでした。一方で、チェスや碁などのゲームや、ほとんどのスポーツ、読書、絵画などは、周りの環境や家族から自然に与えられたものの中から、好きかどうかで選べました。そして成長する過程でヴァイオリンが勉強との両輪となり、空手が違う次元で存在するようになりました。高校の課目の一つであった物理を大学で専攻した理由は実に単純で、それまで教えられてきた奏法や身のこなし方などの道理が、少しずつクリアに紐解かれるというか、しっかりとした物理的根拠に基づいていることを学んだからです。

――最初は必然的にヴァイオリンを始められたのかもしれないですが、それをずっと続けてこられたのは、新たな人との出会いや、新たにご自身がやりたいこと、またこれまでご自身が学んでこられたことを融合させたいという思いが強くなったためなのでしょうか。

五嶋: 大学では学内のソーシャルクラブに入り、そこで出会った友人と投資会社を思いがけずも西アフリカのガーナで始めることになり、同時に現地のNPO法人を立ち上げました。そこでコンサートをしたり、偶然音楽を通じて投資家と出会ったり、サポーターが現れたりして、どんどん夢も広がってきました。子供のころに与えられたものの中から選んだつもりの音楽の道が、一見夢の範疇から離れていったように思えるかもしれません。しかし結局は、いろいろな経験はずっと培ってきた基地を盤石にして、社会につながる自分を見つめることができるようになったと思います。

――いろいろな出会いや、ご自身の達成したいことなどが複合されてヴァイオリニストとしても幅が広がったということですね。

五嶋: 鍛えられた技術があって、そこから、人との出会い、体験、経験がある。このサイクルの継続が、知らぬ間に、本当に少しずつ、メッセージの深さや、社会の一員であることを体得するカギになったのかな、と思っています。

――当社は、ストイックにひとつのこと、非常に技術的なことを求めてやっていく技術者が多いので、そういったことを幅広く経験したり、出会いがあったりというようなことはなかなか少ないと思います。技術を磨くことに没頭するだけでなく、いろいろな出会いを求めるようにしていくことが、自分が成長する糧となる、ということをメッセージとして感じることができました。

五嶋 龍(ヴァイオリン)
五嶋 龍(ヴァイオリン)

――最後に、ヴァイオリニストとしての夢、またはヴァイオリニストとして以外で持たれている夢をお聞かせ願えますか。

五嶋: 最近ヴァイオリンを携えて、特に海外の病院や施設を訪れ、やむなく家族と離れて暮らす子供たちや若者と交流する機会を国際交流基金からいただいています。この経験は自分自身へ何よりもの満足を与えてくれます。必ずしも「夢」とイコールとは言いがたいのですが、どんな分野を志す若い学生たちにも、何とかこの喜びを教えてあげたいと思います。

五嶋 龍(ヴァイオリン)

――どうもありがとうございました。

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