アニュアルレポート 2014アニュアルレポート 2014

CLOSEMENU

社長インタビュー

Q1. 当期の業績を
振り返ってください。

構造改革の成果や円安効果を受けて、
期初予想を大きく上回る増収増益を記録しました。

 2014年3月期のTDKの業績は、国内外各国の経済成長やエレクトロニクス市場の回復、またここ数年にわたる構造改革の成果などによって期初の業績予想を大きく上回りました。連結売上高は前期比16.9%増の9,845億円と過去最高を記録し、営業利益も同66.0%増の366億円に達しました。
 セグメント別では、前期赤字だった受動部品事業の黒字化が業績改善に大きく寄与しました。構造改革による事業体質の改善に加え、自動車市場、産業機器市場及びスマートフォンやタブレット端末などの通信機器並びに情報家電市場向けが好調に推移しました。これらにより受動部品事業の売上高は前期比24.3%増の4,717億円、営業利益も三期ぶりの黒字に転じ、前期のマイナス111億円から154億円へと大幅な増益を達成しました。
 一方、磁気応用製品事業は、売上高が前期比7.8%増の3,643億円、営業利益が同24.3%減の281億円にとどまりました。これは記録デバイス事業が、タイ洪水による特需があった前期に比べてとくに数量ベースで大幅減となったこと、さらにマグネット事業や記録デバイス事業(ハードディスクドライブ(HDD)サスペンション事業)において、前期はタイ洪水被害の保険金58億円を計上していたなどの事情によるものです。
 フィルム応用製品事業は、スマートフォン、タブレット端末を中心とする通信機器・情報家電市場でのエナジーデバイス(二次電池)の販売が好調に推移したほか、新規顧客の獲得などもあって、売上高は前期比25.7%増の1,293億円、営業利益も同4.7%増の134億円となりました。
 当期における平均為替レートは、対ドルが期初計画より20.8%円安の100円26銭、対ユーロが同じく25.6%円安の134円42銭となりました。海外売上高が90%以上を占める当社のグローバル事業体制下において、この為替変動による効果は大きく、売上高約1,475億円、営業利益約243億円の増収増益に結びついています。

売上高(億円)
営業利益(億円)
当期純利益(億円)

Q2. 今後の成長戦略について
教えてください。

大きな投資をともなう事業構造改革を完遂しました。
今後は各セグメントをバランスよく成長させていくポートフォリオ経営を推進していきます。

 TDKは、この2年間はコンデンサをはじめとする受動部品事業の改革を進める一方、フィルム応用製品事業の拡大を追求してまいりました。その結果、2014年3月期は受動部品事業が黒字化を果たし、フィルム応用製品事業も増収増益を続けています。さらに、データテープ事業・ブルーレイ事業の撤退が完了するなど、大きな投資をともなう事業構造改革は2014年3月期をもって完遂いたしました。
 こうした改革の結果、利益構造の観点からも、安定的な高収益事業であるHDD用磁気ヘッドを中心とする磁気応用製品事業に加え、受動部品事業、フィルム応用製品事業の3セグメントによるバランスの取れた事業ポートフォリオを描ける体制が整いました。2015年3月期からは、3つのセグメントのバランスを図りながら、TDKの強みを活かしてそれぞれの事業のさらなる成長を追求していきます。
 そのための施策の一つとして、2014年4月に営業体制を刷新し、今後高い成長が見込まれる「自動車」「ICT」「産業機器・エネルギー」という3つの重点戦略市場別の営業組織に再編しました。さらに、各セグメントの中でも、「インダクティブデバイス」「高周波部品」「圧電材料部品」「HDD用磁気ヘッド」「二次電池」の5つを重点事業に位置づけ、これらに経営資源を集中的に配分していきます。
 続いて市場分野別の戦略ですが、まず「自動車」分野については、コンデンサやインダクティブデバイスなど、既に高いシェアを持っている自動車用パワートレイン系の電子部品をはじめ、新材料を用いた高効率の電源、DC-DCコンバータ、バッテリチャージャなどの拡販を強化し、総売上に占める比率を2014年3月期の17%から2015年3月期以降早期に20%を達成することを目標に拡大させていきます。また、中長期的な取り組みとしては、磁気ヘッド技術を応用して開発したTMRセンサを、車載用の角度センサなどの用途で拡販していくことや、EV(電気自動車)用電池の拡販を考えています。EV用電池は既に一部量産が始まっており、今後の成長が期待できます。さらに、磁石事業についても、新材料・新工法の開発などによって巻き返しを図りたいと考えています。自動車分野における電子部品の需要は、今後も電装化の進展やHEV(ハイブリッドカー)やEVなどの環境自動車の拡大により、確実に増加すると見られております。この自動車分野において当社は着実な成長を実現していきます。
 次に「ICT」分野では、引き続きスマートフォンやタブレット端末などの成長市場に注力します。その中でも、特にカメラモジュール用のVCM(Voice Coil Motor / 高速オートフォーカス)やOIS(Optical Image Stabilizer / 手ぶれ補正) 用アクチュエータ、リチウムポリマー電池といった付加価値製品を拡販していきます。
 SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタなどの高周波部品については、半導体メーカーとのICコラボレーション戦略を基軸にして有力セットメーカーのリファレンス獲得に取り組んでいます。現在、TD-LTE方式4Gサービスの展開が進みつつある中国をはじめ、米国や韓国などの有力市場において、ダイバーシティモジュール、TC-SAW(Temperature Compensated SAW)フィルタ、BAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタなどの拡販に力を注ぎます。さらに受注獲得と同時に、ウエハサイズの拡大やさらなる小型パッケージ製品の投入などによる生産性・収益性の向上にも力を注ぎ、市場競争力の強化を図ります。
 「産業機器・エネルギー」分野では、再生可能エネルギー発電設備などのエネルギーインフラ向けに、インバータ用部品、DC-DCコンバータ、定置型二次電池(ESS=Energy Storage System)、コンデンサ、ラインノイズフィルタ、リアクタ、電流センサといったパワーデバイス製品の拡販に注力していきます。

3セグメントの営業利益推移

  • 受動部品
  • 磁気応用製品
  • フィルム応用製品
2013/3
受動部品事業の
構造改革推進
2014/3
受動部品事業の
黒字化
2015/3(計画)
主力3セグメントの
バランスのとれた
事業ポートフォリオ構築

Q3. 事業におけるTDKの最大の強みはどこにありますか。

コアコピタンスである磁性分野などの材料技術やナノレベルの精密なモノづくりの力を駆使して次世代の高付加価値製品を提供していきます。

 TDKグループの最大の強みは「独創性」—すなわちオリジナリティのある技術を駆使して他社にない製品を創り出せることにあります。今後もコアコピタンスである磁性分野などの「材料技術」やナノレベルの「精密加工技術」を駆使して、新しい価値ある製品を市場に提供し続けていきます。
 なかでも磁気ヘッド分野で培ってきた薄膜プロセス技術については、これを他の電子部品の生産に応用することで大きなブレイクスルーを起こせると期待しています。たとえば、高周波部品の分野では、時計型やメガネ型などのウェアラブル端末に対応していくために、今後より一層の小型化・薄型化が要求されるのは間違いありません。そこでTDKでは、磁気ヘッドの薄膜プロセス技術を駆使して、次世代の薄型のSAWフィルタ、BAWフィルタなどの開発を進めていく計画です。すでに、ドイツのエプコス社の技術者と当社の磁気ヘッドの技術者が協力して高周波部品の生産工程の改善に取り組み、成果が現れ始めています。磁気ヘッドの生産設備は償却期間が短いため、償却済の既存設備を高周波部品の生産拠点に転用することによって、品質はもちろんコスト面でも大きな競争力を発揮できるはずです。
 また、ウェアラブル端末の用途としては、血圧・体温などを測定して健康管理に役立てるといったヘルスケア領域での活用も期待されています。これらヘルスケア用途向けの各種センサやパワーマネジメント系の部品についても、半導体メーカーとのコラボレーションなどを通じて、小型・薄型の高付加価値製品を開発していきたいと考えています。

Q4. CSRに対するTDKの姿勢・考え方を教えてください。

あらゆるステークホルダーに信頼される企業をめざし省エネルギーを実現する製品・技術の提供など事業を通じた社会貢献に力を注ぎます。

 TDKグループのCSRに関する基本姿勢は、「創造によって文化、産業に貢献する」という社是に凝縮されています。こうした基本姿勢の実践に向けて一人ひとりの社員が日々努力を積み重ねていくことによって、TDKという会社がすべてのステークホルダーから信頼される存在になるのです。
 TDKが事業を通じて社会に貢献できる領域は多岐にわたりますが、なかでも大きな可能性を秘めているのが省エネルギーを実現する製品を通じた貢献です。当社は、スマートフォンやPCといった身近なコンシューマ機器から、車載機器、さらには風力発電・太陽光発電などのエネルギーインフラ設備まで、幅広い電源関連の製品を供給していますが、現在の電源製品のエネルギー効率は最高でも90%程度であり、約10%のエネルギーをロスしている計算になります。それだけに、この効率を1%向上させるだけでも、社会全体では相当量の省エネ効果が得られるわけです。電源の効率改善については、まだまだイノベーションの余地があると考えています。そのためには、設計や生産プロセスの改善はもちろん、材料から見直していく必要がありますが、TDKには薄膜積層や巻線などのプロセス技術、また磁性体や誘電体などの材料技術に関する豊富な蓄積があります。この強みを活かし、今後も新材料の開発や生産技術の革新などによって、電源の高効率化を追求していきます。
 わが国では、東日本大震災後、社会レベルでの省エネルギー推進が重要課題となっています。TDKでは、電源の効率化によって省エネに貢献していくのはもちろん、洋上風力発電などの再生可能エネルギー関連のプロジェクトに参加し、風力発電に必要なマグネットや蓄電関連の製品を開発するなど、持続可能な社会の実現に向けた新たなエネルギーインフラの構築にも積極的に貢献しています。
 一方、HEVやEVなどを含めた自動車の電装化、情報化が進んでいる自動車分野においても、TDKは、高効率の電源システムや各種センサ類など、より安全で環境にやさしい自動車づくりに役立つ部品を提供しています。
 さらに、こうした省エネ分野以外でも、たとえば医療や介護の分野において、診断機器やウェアラブル機器向けのセンサ類や電子部品などを提供していくことにより、人々の生活の質の向上に貢献していきたいと考えています。
 もちろん、すべてのステークホルダーに信頼される存在となるためには、地球環境や人権などに十分配慮した経営を行うことが不可欠です。当社では、2011年に日本の電子業界で初めてカーボンニュートラルの目標を掲げるなど、徹底した環境経営に取り組んできました。また、海外売上高の比率が90%を超えるグローバルカンパニーとして、世界各地域で国籍や性別を超えた人材の登用・育成を積極的に進めるなど、ダイバーシティの推進にも力を注いでいます。

Q5. 2015年3月期の見通しについてお聞かせください。

ICT分野での高周波部品の販売増やリチウムポリマー電池の市場成長などにより売上高1兆500億円を見込んでいます。

 2015年3月期は、為替レート1ドル100円、1ユーロ135円を想定して試算しています。
 受動部品事業では、自動車向け部品の販売が引き続き拡大するほか、高周波部品を中心にICT向けの販売が伸張すると予想されることから、当期比10%〜15%の成長を見込んでおり、利益面でも大幅な増益を見込んでいます。一方、磁気応用製品事業は、産業機器市場における設備投資の回復から電源事業の拡大を見込んでいるものの、売上構成比率の高いHDDヘッド事業につきましては、PC向けHDD需要の減少が続く中、データセンター向けのハイエンド製品市場の急激な拡大が見込めないため、セグメント全体としては当期比-5%〜0%の横ばいを見込んでいます。しかし、利益面では、前期課題であったマグネット事業や電源事業の収益改善を中心に、前期とほぼ同水準の営業利益を確保できる見込みです。フィルム応用製品事業は、リチウムポリマー電池の薄型化、大容量化などによる部品市場の拡大が予想されることから、当期比20%〜25%の大幅な成長を見込んでおり、増益を見込んでいます。
 これらにより2015年3月期の連結売上高は、前期比6.7%増の1兆500億円、営業利益は同55.7%増の570億円、営業利益率5.4%を見込んでいます。配当金は上期下期とも一株当たり40円、年間80円を予定しています。売上高は、創業以来初の1兆円超えとなります。
 この業績予測のなかでも、とくに5.4%という営業利益率は、まだまだ満足できる水準には達していません。そこで当社では、今後も引き続き各事業の収益構造の見直しを行い、改善余地のある事業については徹底した改革を実施していきます。さらに、成長市場での確実な拡販をめざして、重点戦略市場別に再編した新しい営業体制のもと、多彩なソリューション提案を推進していきます。
 TDKでは、2015年3月期を来期以降の本格的な業績拡大に向けた最後の助走期間として位置づけており、今後もグループの総力を結集してさらなる成長を追求してまいります。

売上高(億円)
営業利益(億円)
当期純利益(億円)
1株当たり配当金(円)