TDKの将来戦略TDKの技術が
新しい未来を切り拓く

IoT市場を見据えたTDKの大変革

IoT(Internet of Things)とは通信機器だけでなく、自動車、インフラ、産業機器など世界中のあらゆる「モノ」がインターネットに接続され、情報を交換することで相互に制御する仕組みです。角度や湿度など、「モノ」の情報を感知するためのセンサ技術や、インターネットを介して情報をやり取りするための情報通信技術、近い将来には、自動車の自動運転への応用が期待されるなど開発はますます進んでいます。

TDKでは、自動車、ICT、産業機器・エネルギーの重点3市場への注力を通じてIoT市場における事業機会の獲得を目指しています。センサ、アクチュエータ、薄膜部品などはTDKの特長を発揮し、成長を導く製品となります。ほかにも電池や電源、非接触給電などを組み合わせたエネルギーユニットの開発も進めています。

到来するIoT時代においても、社会から選ばれる企業となることを目指し、TDKは大胆な改革を進めていきます。

カテゴリー別:loTデバイスの稼働台数 カテゴリー別:loTデバイスの稼働台数
カテゴリー別:loTエンドポイント支出額 カテゴリー別:loTエンドポイント支出額

出典:ガートナーニュースリリース
“Gartner Says 6.4 Billion Connected ”Things” Will Be in Use in 2016, Up 30 Percent From 2015” 2015年11月10日発行
http://www.gartner.com/newsroom/id/3165317
(ガートナーの値を基にTDKにて図表を作成)

免責:ここに述べられたガートナーのレポート(以下「ガートナーのレポート」)は、ガートナーの配信購読サービスの一部として顧客向けに発行されたリサーチ・オピニオンもしくは視点を表したものであり、事実を表現したものではありません。ガートナーの各レポートは、レポート発行時点における見解であり、この説明資料発行時点のものではありません。また、ガートナーのレポートで述べられた意見は、事前の予告なしに変更されることがあります。

FOCUS

大胆な変革を進めている背景

従来、TDKの成長を支えてきたのはHDD用磁気ヘッド及び高周波部品をはじめとするスマートフォン向け電子部品でした。しかし、HDDの世界需要は2010年をピークに縮小傾向を見せています。スマートフォンの出荷台数も勢いが徐々に減速しています。

一方で、自動車向け製品への経営資源の投入を進めています。当社は、自動車分野の電装化に40年以上前から着目し、提供する製品を拡げてきた歴史があります。注力する磁気センサ分野をはじめとして、非接触給電システムの構築まで視野に入れています。

HDD市場出荷台数の推移 HDD市場出荷台数の推移

出典:テクノ・システム・リサーチ

世界のスマートフォン出荷台数の推移 世界のスマートフォン出荷台数の推移

*1 メーカー出荷台数ベース

*2 2015年は見込み値、2016–2020年は予測値

出典:(株)矢野経済研究所「携帯電話の世界市場に関する
調査結果2015」(2015年6月23日発表)

事業環境への対応に向けて
展開している戦略

非中核事業からの撤退の歴史

当社は、非中核事業からは戦略的に撤退を行い、事業ポートフォリオの適正化に取り組んできました。前中期経営方針(2012年3月期~2015年3月期)においては、有機ELディスプレイ事業、コンピュータ用磁気テープLTO(Linear Tape-Open)、ブルーレイ事業などから撤退し、事業・製品ごとの見直しを行いました。また、国内外の拠点の統廃合促進、一貫生産への回帰によるモノづくり力の強化、組織、ビジネスプロセスの簡素化による生産リードタイムの短縮など様々な面での改革を実施しました。

成長の加速に向け、
製品や技術を補完するM&A

当社は、さらなる成長が期待されるIoT市場に向け、製品や技術を補完するためのM&Aを積極的に行いました。自動車向けセンサ事業の拡大を目的にスイスのホールセンサメーカーのミクロナス社を買収しました。SESUB事業を本格的に拡大するために台湾のASE社と協業体制を確立させました。また、薄膜受動部品の製造拠点の確保に向けたルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング社鶴岡工場の譲受について合意しました。

将来の成長の大きな弾みとなる
クアルコム社との提携と
合弁会社の設立

中でも、クアルコム社との提携はIoT市場でリードしていくために特に重要となります。クアルコム社は、次世代のワイヤレス技術を有するグローバルなリーディングカンパニーです。受動部品、電池、非接触給電、センサ、MEMSなどの重点技術分野で業務提携を拡大し、両社の競争優位性の向上を図ります。

また、モバイル機器、IoT、ドローン、ロボット、自動車向けなどに高周波(RF)フロントエンドモジュールや高周波部品を提供する合弁会社「RF360 Holdings」の設立に合意しました。さらなる高性能化、高集積化を図ります。

縮小する市場で
「必要とされる存在」であり続ける
HDD用磁気ヘッド事業

縮小、停滞の続くHDD市場の中でもすでに手は打ってあります。まず、2拠点体制としていた前工程の拠点を1拠点体制に集約し、後工程も中国でリストラを実施してコスト削減を図り、フィリピンではHDD用磁気ヘッドに加えて受動部品の生産も開始しました。業界全体でも、開発・製造の垂直的協業を強化するとともに、重複投資やコスト増を回避する水平分業の展開や、先端技術開発支援を行います。自社内でも熱アシストヘッド、二次元記録、マイクロDSAなどの新技術開発に注力します。

クアルコム社との協業

持続的な成長実現に向けた
3つの戦略製品

センサ・アクチュエータ

カメラモジュール用アクチュエータカメラモジュール用アクチュエータ
カメラモジュール用アクチュエータ

TDKが現在、注力している磁気センサは、これまでにHDD用磁気ヘッドなどで培った薄膜プロセス技術を応用し、精度が高くハンドルの角度検知時の誤差を著しく減らすことで、燃費改善や省力化に貢献するものです。まさに、これまでの長い年月をかけて蓄積してきた磁性技術の結晶といえる製品です。

磁気センサ事業は、当初は車載向けのアプリケーション拡大及び顧客基盤の拡大を図ります。また、精度と省エネ性という強みを活かし、民生用途需要を取り込み、事業規模を拡大させる計画です。TDKのTMR素子、ミクロナス社のホール素子という双方の強みを融合させ、より高性能なセンサを開発します。最後にモジュール化、システム化を通じて、顧客のニーズに応えていきます。

アクチュエータ事業に関しても、保有技術と新規技術活用により事業を創出し、高精度・低消費電力製品の市場投入を目指します。主にスマートフォンの手ぶれ防止に使用するカメラモジュール用OISが戦略成長製品となります。すでに中国市場向けの量産体制は構築できており、今後も拡大を目指します。

ギアトゥースセンサギアトゥースセンサ
ギアトゥースセンサ

ポジションセンサポジションセンサ
ポジションセンサ

TMRセンサTMRセンサ
TMRセンサ

磁気センサ事業の拡大戦略

磁気センサ事業の拡大戦略 磁気センサ事業の拡大戦略
PICKUP

ミクロナス社とホール素子

電気の流れているものに対し、電流に垂直に磁場をかけると、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が現れるホール効果を活用し、磁界を検出する素子をホール素子といいます。ミクロナス社は自動車の動力伝達装置、エンジンの制御などに利用されるホールセンサを製造し、回路設計技術・パッケージング技術を持つスイス大手のセンサ会社です。今後は、ミクロナス社の経営資源を積極的に活用しながら自動車分野の事業拡大を目指していきます。

ミクロナス社の開発する各種センサミクロナス社の開発する各種センサ
ミクロナス社の開発する各種センサ

エネルギーユニット

双方向DC-DCコンバータ双方向DC-DCコンバータ
双方向DC-DCコンバータ

エネルギーユニットの定義は「電力変換の機能、蓄電機能、エネルギー制御機能を持つハードウェアとソフトウェアを組み合わせたユニット」です。これまで、個別に開発してきた電力変換機能を持つDC-DCコンバータや非接触給電システム、蓄電機能を持つ各種リチウムイオン電池、エネルギー制御機能を持つ各種センサといった製品群を、ソフトウェアも駆使することで、システムとして一体的にユニット化していく計画です。ユニット化することで、エネルギー効率や安全性も高まり集約されることによるコストダウン効果も見込まれます。車載用インバータについても、東芝と合弁会社を設立することで合意しました。

xEV用 車載DC-DCコンバータxEV用 車載DC-DCコンバータ
xEV用
車載DC-DCコンバータ

エネルギーユニットは、自動車、産業機器・エネルギーの分野での応用が見込まれます。自動車市場では、今後、非接触給電対応車の実用化やAGV(無人搬送車)の増加も見込まれます。こうした新しい分野に、ソフトウェア技術を取り込んだエネルギーユニットの製品を提供することで、今後の収益の柱としていきます。

エネルギーユニットの拡大戦略

エネルギーユニットの拡大戦略 エネルギーユニットの拡大戦略

センサ・アクチュエータ

当社は、SESUB技術・薄膜技術・材料技術を融合させ、次世代電子部品、モジュールを提供していく計画です。当社は、2016年3月期、成長に向けた取り組みを実施しました。まずは、車載用製品や半導体製造プロセスの豊富な経験を持つルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング社鶴岡工場の譲受に関する合意です。薄膜受動部品の製造拠点として、生産の拡大を見込むとともに技術力への寄与が期待できます。また、当社と台湾のASE社と合弁で、SESUB技術を活用したIC内蔵基板の合弁製造会社を設立しました。ウェアラブルやヘルスケアの分野での受注拡大を目指していきます。

IC内蔵基板

BluetoothモジュールBluetoothモジュール
Bluetooth
モジュール

パワーマネジメントユニットパワーマネジメントユニット
パワーマネジメント
ユニット

MEMS技術

MEMSマイクロフォンMEMSマイクロフォン
MEMS
マイクロフォン

MEMS圧力センサMEMS圧力センサ
MEMS
圧力センサ

次世代電子部品の拡大戦略

次世代電子部品の拡大戦略 次世代電子部品の拡大戦略

CTOが語るTDKの技術戦略

松岡 大 技術本部 本部長(CTO)松岡 大 技術本部 本部長(CTO)

松岡 大技術本部 本部長(CTO)

IoT市場を牽引するための技術のピースは揃いました。80年にわたり培った技術の「引き出し」を通じて、社会へ価値を提供していきます。

「技術者をつなげる潤滑剤」と技術の対外的な訴求を強化

TDKはグローバルに優秀な人材を抱える技術者集団です。しかし、個ではなく組織としてポテンシャルを最大限発揮させることで、お客様への提供価値はより高まっていくと考えています。私の役割の一つは、当社に所属する世界中の技術者の「潤滑剤」としてグローバル規模でつながりを持たせ、様々なシナジーを生み出し、お客様に直接メリットを提供できるデバイスやシステムといった提案ができるような仕組みを構築することです。

また、これまでCTOとしての役割は上釜前社長が兼務してきたこともあり、経営的な視点からの情報発信が中心でした。私は、より技術的な面から、当社の競争優位性をアピールしていきたいと考えています。

技術の根幹として変わることのない磁性技術を活かし、お客様への提供価値を高める

当社の製品ポートフォリオは時代やお客様に合わせて大きく変わってきています。IoT時代の到来は、製品ポートフォリオをさらに変えていくでしょう。しかし、当社に脈々と流れる技術の連続性は変わることはありません。技術の根幹となるのは磁性です。創業以来培った磁性技術を軸として、製品の素材を原子レベルから追究し、製品特性に合わせナノオーダーで組み合わせています。また、素材に添加物を加えることで狙った機能を生み出す技術や、ナノオーダーでの厚みや大きさを自由自在に制御するプロセス技術を保有しています。つまり、お客様の求める製品に合わせた技術の「引き出し」を数多く持っているといえます。さらには、自社開発の生産設備も保有し、高品質な製品の量産化が可能です。これらは、新興国の企業や他社には決して真似することのできない強みです。実際に、当社にはお客様から多くの次世代製品の要求があり、様々な特性を持つ製品の開発を手掛けています。

当社は、お客様が求める製品の開発から生産までのサイクルをスピードアップさせることがお客様への提供価値を最大化できると考えています。お客様と開発拠点の地理的な距離を縮め、お客様の近くで製品開発が行えるよう、新たにグローバル4拠点で研究開発活動を推進します。

創業精神が技術者の開発意欲を刺激し、価値のある新製品を生み出す

様々なモノの情報を知ることができるセンサ技術や、その情報をインターネットにつなげる情報通信技術、また、それらを作動させるエネルギー技術などを駆使して、自動車の自動運転やウェアラブル機器による健康管理などの開発が進んでいます。

当社では、これまでに高精度なHDD用磁気ヘッドの開発で培った磁性技術と、薄膜技術、さらに微細加工技術を活用したセンシング技術で車載、メディカル、産業機器など様々な特性を持つセンサを開発しています。これらは、他社が標準的な材料で容易に真似できるものではなく、どれも材料から設計された小型、高機能なセンサです。IoT市場で付加価値を創出するためのピースは揃いました。今後もセンサのみならずIoT市場に向けた独自性のある高付加価値製品の開発を推進します。

こうした製品開発の根底にあるものは、技術者が持つ「オリジナリティの追求」という想いです。1935年のフェライトコアからスタートした当社には、特徴ある新製品を自分の手で生み出していくという創業精神が今も当社の技術者の中に息づいています。私はこの灯を永遠にともし続けていきたいと考えています。

PDFでは「TDKの将来戦略を理解する」の全文がご覧いただけます。

TDKの将来戦略