TDKの将来戦略TDKの財務・資本戦略

取締役 執行役員 経理グループゼネラルマネージャー 山西 哲司 取締役 執行役員 経理グループゼネラルマネージャー 山西 哲司

変革期を迎えたTDKの
成長戦略を、
財務・資本戦略で
強力に
後押ししていきます。

取締役
執行役員
経理グループゼネラルマネージャー

山西 哲司

所信「動的な攻め」と「静的な攻め」を両輪に

私の責務の一つは、投資回収計画の検証や資金調達等を通じて、成長戦略に舵を切った当社の「攻め」の各種施策をお膳立てすることと認識しています。他方、不透明性が高まる中でリスクを取りに行くことを正視し、事業の中身を慎重に検証し、やめるべきと判断した時は、きちんとブレーキをかけていく考えです。当社には、長期的な目線で企業価値拡大をご期待いただく株主・投資家の皆様が数多くいらっしゃいます。そうした方々から頂戴した貴重なご意見を、これまでも様々な戦略に反映させていただきました。今後も、株主・投資家の皆様との対話を自身の重要な役割と捉え、ご意見を真摯にお聞きし、企業価値拡大につなげていきたいと考えています。

事業構造変革期の財務戦略持続的成長に向けて経営資源
を新たな成長分野に振り向ける

当社は、中期経営方針(2016年3月期から2018年3月期)において、設備投資額4,300〜4,800億円、研究開発費約2,500億円を計画するなど、成長投資を積極的に行っています。この投資規模は、足元の営業利益率を犠牲にせずに、経営目標として掲げる営業利益率10%以上を中期的に達成していくために必要と見込む投資額です。

大きな事業ドメインの変更がなかった従来の当社は、2008年に買収したEPCOSグループのケースを除き、M&Aを含む投資に際しては、概ね営業キャッシュ・フローの範囲内に留めてきました。一方、現在の当社は、事業構造の大規模な組み替えを進めているため、投資は営業キャッシュ・フローに加え、クアルコム社へ高周波部品事業を譲渡することにより獲得するキャッシュを、成長事業に振り向けることで賄っていく方針としています。

当社及びクアルコム社は、契約締結日より30ヵ月後に合弁会社に対する当社保有分49%の株式を取得(当社は売却)するオプションを保有します。権利が行使された場合、譲受価値の総合計は、最終的におよそ30億米ドルとなる見込みです。これに基づき、ミクロナス社の企業買収や設備投資などは一部前倒しで実施し、経営のスピードを上げています。

成長投資及び資金源

成長投資及び資金源 成長投資及び資金源

* オプションが行使された場合の、譲受価値の総合計見込み。契約締結時の支払いと、合弁会社によるRFフィルタの販売やクアルコム社、QTIとTDKの相互協力にかかる契約、オプション行使価格など、TDKへの将来の追加支払いを含む。

長期戦略の実現に向けた最適資本構成持続的・安定的な投資を念頭に置いて
資本構成を設計

当社が身を置く電子部品業界は、技術革新が非常に激しく、また為替等の市況やマクロ環境の変化による影響も受けます。そのような中で持続的に競争力を高めていくためには、長期的な見通しに基づき、重点分野の新製品や新技術を中心に、成長投資を継続的に行っていく必要があります。そのため当社は、成長戦略はもとより最適資本構成も長期的な時間軸で設計しています。業績が短期的に変動する中でも安定的に研究開発投資や設備投資を行っていくためには、一定の株主資本の厚みが不可欠であるという考えに基づき、株主資本比率は50%程度を維持していきたいと考えています。現在は事業構造の組み替えを進めている中で、主力事業の先行投資を積極的に実施しているため、借入による資金調達の増加により2016年3月期のD/Eレシオは、約0.5程度になりましたが、既存事業の収益拡大に加えM&Aや投資の回収を通じて、中長期的に強固な財務体質を築いていく方針です。

配当については、配当性向30%を目標とし、1株当たり利益の成長を通じて、配当の安定的な増加に努めるとともに、自社株取得についても、株主還元の一つの方策として認識し、長期戦略をご支持いただく株主の皆様のご期待にお応えしてまいります。

管理指標と連動させた資本効率の向上「事業ROA」をKPIとして運用・管理し、
ROEの向上を実現

当社は中期経営方針を策定するに当たり、資本コストを意識した上でROEの目標値を「10%以上」と設定しました。資本効率の向上を確実に実現していくために、ROEと連動し、収益を創出するビジネスグループごとの事業活動で目標となりうる管理指標を運用しています。

当社は1999年より、資本コスト(株主資本+有利子負債)に対するリターン(利払前税引後利益率)を比較した「TVA(TDK Value Added)」という指標を定め、全社レベルで資本コストを意識した管理を行ってきました。設備投資に対するディスカウントキャッシュフローやM&Aの際の投資回収期間等も、この指標に基づき算定してきました。しかし、事業部門には「資本」という概念が直接結びつかないなど、事業レベルでは運用しにくい指標でした。そのため、現計画では、「TVA資産」と呼んでいる在庫や固定資産等の各事業の資産に対する利益率である「事業ROA」をKPIとして運用・管理することとしました。この事業ROAから資本コストを減算した値が、各事業が生み出す付加価値であるTVAとなります。つまり現場がROEを直接意識せずとも、営業利益や投資利益率に加え、在庫回転期間や売掛金回収期間などの比較的身近な管理指標を追求すれば、結果的に全社の資本効率が向上していく仕組みとなっています。今後も、当社グループの総力を結集し、事業ROAの向上を目指します。そして、各事業付加価値の最大化を実現することで、全社ROEを高めていく方針です。

全社及び各事業の管理指標

全社及び各事業の管理指標 全社及び各事業の管理指標

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