経営陣からのメッセージ社長メッセージ
すべてのステークホルダーの
皆様へ

石黒 成直

80年を超えて
受け継いできた
創業の精神を胸に刻み、
TDKの未来を
切り拓いていきます。

代表取締役社長石黒 成直

TDKグループは、スピード感を持って新たな自己変革を進めています。
「素材・部品とソリューションのハイブリッドビジネスモデル」による社会課題の解決を通じ、
持続的な企業価値拡大を実現していきます。

社会が求めるものをいち早く察知してきたTDK非連続な変革により持続的発展を
遂げてきました

約80年前、TDK(当初は東京電気化学工業)は日本独自の発明品である「フェライト」の工業化を目的として設立されました。当時フェライトは、用途も工業化の可能性もまったく未知数でした。社是「創造によって文化、産業に貢献する」には、創業者である齋藤憲三の「世の中にまだ存在しない価値を素材レベルから創り上げる」という独創の精神、そして「社会的価値があるという信念を持って、あきらめずに取り組めば必ず道は開ける」という想いが込められています。

この創業精神を脈々と受け継いできたTDKは「次に社会が必要とするものは何か」を常に考え、1968年のカセットテープ、1980年のファイン積層テクノロジー、1987年のHDD用磁気ヘッドなど、数々の独創的なイノベーションを生み出し続け、社会の発展に貢献してきました。社会ニーズをいち早く察知してきたからこそ、主力製品が衰退期に入る前に製品ポートフォリオを入れ替え、事業構造の変革に取り組むことができ、持続的に発展してこられたのです。

現在、当社は新たな変革のときを迎えています。1990年代からの主力製品だったHDD用磁気ヘッドの成長は鈍化し、スマートフォンなどのICT機器に搭載されてきた当社のさまざまな部品も、今後はコモディティ化が一層進んでいくことが予想されます。この先の新しい社会を見通せば、創業以来の素材技術とプロセス技術を強みとする「モノづくり」だけでは持続的な成長に限界が来る、という懸念も強くなっています。

TDKは、これからの時代の「文化、産業に貢献する」ため、事業ポートフォリオはもとより、事業のあり方そのものの変革にも踏み出しています。

電子部品の無限の可能性を掴むために「世の中に存在しないもの」を創り上げるための変革が今、必要です

IoTやAIによって将来の社会がどのような姿になるのか、正確に予想することは困難です。しかし、電子部品の可能性が無限に広がっていくということは確信しています。当社は、2015年にHDD用磁気ヘッド技術を応用した高精度・高感度のTMR(トンネル磁気抵抗)センサの量産を開始し、センサ市場に本格参入しました。今後は自動車や社会インフラ、ヘルスケアなどさまざまな分野において、人が介在していた機能にセンサが置き換わっていきますので、その可能性は果てしなく広がっていきます。

パワーエレクトロニクスも大きく期待できる分野です。パワーエレクトロニクスの技術・製品は、TDKのコアコンピタンスそのものです。今後、一般家庭を含むあらゆる分野で、効率的な発電・給電・変換・蓄電が求められていくことは疑いなく、当社にとってパワーエレクトロニクスのポテンシャルはセンサ以上だと考えています。

かつては、単一の課題を単一の部品で解決していましたが、これからは、さまざまな部品を複合的に組み合わせなければ課題解決は困難になっていきます。たとえば、xEVが普及し、コネクテッドカーとなり、さらにADAS(先進運転支援システム)の搭載が広がってくると、振動や傾き、温度など複合的なセンシングに加え、データの蓄積や解析のための無線通信も必要になります。そうした複合化が必要な分野は無数に存在します。また、これらのプロセスの多くは電気が必要となります。これらすべてを組み合わせて提供するポテンシャルを有しているのがTDKです。

それらの多くは、現在「世の中に存在しないもの」です。そうしたものを創り上げていくためには、ビジネスのあり方を従来の延長線上にはない姿に変えていかねばなりません。お客様のご要望にお応えする製品を供給する従来のモノ起点から、お客様のご要望を先取りしてソリューションを提供するコト起点への変革が必要です。そのために、まず幅広い「技術の引き出し」を揃える必要がありました。

M&Aを手段として多様性を尊重し、主導権を渡すのがTDK流のPMI(Post Merger Integration)です

当社は、以前より事業ポートフォリオ変革の手段としてM&Aを積極活用してきました。長期的な成長戦略の実現に必要な技術を有する買収先候補を、多くの場合は自ら開拓し、「理念の共有や技術の融合が可能か」を慎重に見極めてきました。買収後は、それぞれの企業に事業の主導権を渡すアプローチを貫き、お互いの企業価値拡大を実現してきました。

たとえば、1986年のSAE Magnetics(H.K.)Ltd.(以下、SAE社)の買収によって、HDD用磁気ヘッド事業は大きく拡大しました。2005年に買収したAmperex Technology Limited(以下、ATL社)の貢献によって、当社の二次電池の売上高は着実に拡大しています。2008年に買収したドイツの部品大手EPCOSグループは、高周波部品などでスマートフォン市場における成長の牽引役になってきました。そのEPCOSグループの高周波部品事業の譲渡による売却資金を視野に入れながら、2015年頃より進めてきたのがセンサビジネスを中心としたM&Aでした。当社がコア技術を有しておらず、強力な先行企業も存在する光学式センサは対象とはせず、非光学式センサに対象を絞りました。

2016年3月には、Micronas Semiconductor Holdings AG(以下、Micronas社)を子会社化し、磁気センサ市場の8割を占めるホール素子センサ市場に橋頭堡を築き上げると同時に、TMRセンサ、圧力センサ、温度センサとあわせ、自動車向けのポートフォリオの強化およびノウハウの拡充、販路拡張も実現しました。2016年12月には、Tronics Microsystems SA(以下、Tronics社)の子会社化により、高精度のMEMS技術の慣性センサをポートフォリオに加え、航空市場参入への端緒も切り拓きました。2017年5月には、世界に先駆けて6軸・9軸のモーションセンサを手掛けてきたInvenSense, Inc.(以下、InvenSense 社)の買収を完了しました。MEMS技術をベースとした慣性センサ、圧力センサ、超音波センサ、マイクロフォンなどの製品をポートフォリオに加えたことで、非光学式センサ市場全体をターゲットに捉えました。

2017年3月には、センシングした値を信号処理するASIC(特定用途向け集積回路)の開発・供給や、カスタムICの設計サービスを行うICsense NV(以下、ICsense社)の買収を完了しました。これにより、センサの特性に応じたASICの設計が可能になるとともに、材料技術からセンサ素子、信号処理、ソフトウェアの提供までが一貫してつながったバリューチェーンを構築しました。

これらのM&Aを通じて、TDKは広範な市場にアプローチできるバランスの取れたポートフォリオを構築するにいたりました。

オープンな連携と内部で磨き続けるべき競争優位性素材・部品を80年かけて磨き上げてきました

現在、社会のあらゆる領域で急速に変化が起こっているため、異業種を含めたオープンな環境に身を置いてこそ、ソリューションの幅が広がっていくと考えています。たとえばウェアラブル機器では、バイタルデータを健康改善に活かすノウハウを持つ大学などとの連携の機会が増えています。これも、従来の電子部品ビジネスとは異なる新しい展開といえます。

新しいビジネスモデルを創り上げていく上で、半導体メーカーは、特に重要なパートナーとなります。現在、スマートフォンでは4Gで複数の周波数に対応しつつ、無線LANやBluetoothなどの多様なワイヤレス環境との接続性も求められています。5G(第5世代移動通信システム)ではさらなる複合化が進み、IoT端末では高次元の小型化・高集積化・高機能化が求められてきます。そうした複合化に不可欠なのがモジュール化技術です。今後は、当社単独あるいは高周波部品単品ではなく、半導体メーカーとの緊密な関係を通じて、モジュールやソリューションを提供していくのが合理的だと当社は考えています。これが2017年2月に、高周波部品事業のカーブアウトにより、Qualcomm Incorporated(以下、Qualcomm社)との合弁企業RF360 Holdings Singapore PTE Ltd.(以下、RF360社)を設立した背景です。現在、Qualcomm社とは次世代モバイル通信、IoTおよび自動車関連分野などの広範な領域において、高周波ソリューションに関する協業を進めています。また、センサのリファレンスデザイン化をはじめとするさまざまな共同開発プロジェクトを推進しています。「アルゴリズム」を当社の技術や製品で具現化し、新たな価値を生み出すというお互いの強みを活かした関係性を幅広い半導体メーカーと構築していきたいと考えています。

オープンな連携を積極化する一方、内部で磨き続けなければならないものもあります。それは磁性を中心とする材料技術やプロセス技術、そしてそれらを駆使して生み出す受動部品などの部品の競争力です。これらは80年あまりの歴史の中で研鑽を積み重ねてきた競争優位性であり、他社が容易に模倣できない持続的な発展の基盤ともいえます。これらは新たなビジネスモデルでも強固な土台になります。

新たなビジネスモデル素材・部品とソリューションの
好循環を生み出していきます

「技術の引き出し」は揃いました。TDKの新しいビジネスモデルは、「素材・部品とソリューションのハイブリッドモデル」です。素材・部品技術の磨き上げによる部品単体の競争力を土台に据え、Qualcomm社をはじめとしたICパートナーのリソースも活用した付加価値の高い「センサソリューション」「パワーソリューション」を、ICT、自動車、産業機器・エネルギーといった重点分野で提供していきます。ニーズをいち早く開発に結び付けることで、部品の一層の競争力向上と量的拡大を図り、それをさらに付加価値の高いソリューションにつなげていく好循環を生み出しながら、ビジネスモデル全体の価値を高め収益拡大を実現していきます。

センサビジネスにおいて、非光学式では世界No.1のラインアップを活かし、さまざまな先進的複合センサでお客様の課題解決に貢献していくとともに、ソフトウェアを加えたセンサフュージョンへと拡大させていきます。同時に、自動車向けはもとより、エンタテインメント分野やIoT分野、ロボティクスを含む産機分野など、幅広い市場でトータルソリューションの提供を進めていきます。目指すは、世界No.1のセンサソリューションプロバイダーです。

パワーソリューションに関しては、電池だけに絞って見ても大いに可能性があります。電池で動くものはスマートフォンや自動車だけではありません。電動工具や家電製品など、身の回りでも軽量で安全、高効率なパウチセル型でソリューションを提供できる領域は数多くあります。今後はドローンや産業用ロボット、AGV(無人搬送車)など、新しい用途も限りなく広がっていきます。DC-DCコンバータやAC-DCコンバータをはじめとする電力変換領域、さらには電力制御の領域などにおいて当社は広範なラインアップを誇ります。こうした「エネルギーを自在に操る技術」を駆使し、付加価値が高いパワーソリューションを提供していく考えです。一例を挙げると、自動車市場では発電用モータの磁石で効率的な発電に貢献し、給電・充電では小型の車載用充電器(オンボードチャージャー)やコイルの提供などの単品販売にとどまらず、走行中の給電が可能な磁気共鳴方式のワイヤレス給電システムの実用化も推し進めています。

InvenSense社買収の狙い「ビジネスをスピーディに回し、
将来のニーズを引き出せる力」を
手に入れることが最大の目的です

約13億米ドルを投じたInvenSense社買収の背景については、よりていねいなご説明が必要かと思います。同社の買収は、長期的かつ大局的な視点での効果を狙った取り組みです。

判断理由の一つは、先にお話ししたとおり、MEMS系センサ技術を手に入れることにより、非光学式センサ市場全体をターゲットに据えることができるということです。InvenSense社の企業価値を大きく高めることができると判断したのも背景にある考えです。同社のポートフォリオは、モバイルおよびIoT市場向けの慣性センサなどが中心ですが、中でもMEMS技術に特段の強みを有しています。TDKグループのさまざまなセンサと組み合わせ、販売チャネルを活用すれば、市場開拓の可能性が拡大し、バランスの取れた顧客ポートフォリオの構築が可能になります。こうして経営の安定性を高め、さらに当社の圧電素子を活用すれば、次世代製品の開発を強化できます。また実装技術や「SESUB(Semiconductor Embedded Substrate)」技術の活用により、さまざまな複合化も可能となるのです。

InvenSense社は、TDKが買収した初めてのファブレス企業です。これまで、開発から生産にいたるまでが垂直統合された事業全体に価値を見出し、モノづくり企業を買収してきました。一方、ファブレス企業であるInvenSense社の価値は、モノづくり力ではなく、製品の設計、試作品の提供において、お客様のニーズを的確に製品に落とし込む能力にあります。この「ビジネスをスピーディに回し、将来のニーズを引き出す力」こそが、私が最も期待している同社の価値です。TDKがこれからソリューションビジネスを拡大していく上でカギを握る企業がInvenSense社といっても過言ではありません。すでにセンサビジネスにおいて、こうしたノウハウの共有を進めています。顧客基盤の活用や、双方の技術、アプリケーションを応用した製品ポートフォリオの拡大などを、短期・中期・長期的な視点をもって共同で進めていき、相乗効果を確実に創出していきたいと考えています。

スピードが競争力と収益性を高める「First-to-Market」を掲げ、
全社でスピードアップに取り組んでいます

成長を牽引してきたカセットテープやHDD用磁気ヘッド、ATL社が主導する電池に共通するのは、ニーズを先取りした製品をいち早くお届けする、ビジネスの「スピード」です。変化が速いこれからの時代に、スピードはこれまで以上に重要なファクターになっていきます。

M&Aや業務提携の重要な狙いの一つにもスピードがあります。たとえば、InvenSense社の「回転させる力」は、直接的にビジネスを加速させますし、同社の生産をTDKが担えば、外部委託よりも試作開発のリードタイムをはるかに短縮できます。Qualcomm社との協業や、ICsense社の買収によって構築したトータルバリューチェーンは、開発にスピードをもたらします。

このような考えのもと、私は「First-to-Market」を掲げ、開発部門や生産現場、その他あらゆる組織や従業員を巻き込みながら、ビジネスのスピードアップを強力に推し進めています。

開発部門には、ニーズの先取りはいうまでもなく、ロードマップの先を行く「フライングスタート」の開発を促しています。生産現場で製造している「付加価値時間」は、実際には製造現場で要する時間全体の20~30%程度しかありません。残りは何らかの理由でフローが滞っている「非付加価値時間」といえます。生産現場にとどまらず、すべての部門で非付加価値時間の削減を推進しています。さらに、ビジネスの「月単位」から「週単位」への短縮化も促進しています。計画変更への柔軟な対応が可能となり、またムダも削減できるため、ビジネスサイクルが大きく短縮できると考えています。

こうしたビジネスサイクルの加速は、原価率の改善とキャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮などを通じて、TDKの収益体質の強化に確実につながっていくと考えています。また非付加価値時間の削減は、労働時間の短縮化を通じて、人的生産性の向上にも寄与していくと思います。

足元の業績動向および中期的な成長イメージ次期中期経営計画における成長の種を
数多く仕込んでいます

将来の成長に向けた事業ポートフォリオを新たに構築していくことを決断し、実行した年度、というのが2017年3月期の位置付けです。営業利益は前期比2.2倍の増益となりましたが、高周波部品事業の売却益1,444億円を除くと、9.2%の減益となりました。2018年3月期の営業利益率は、カーブアウト分を穴埋めする水準まで戻すことを目指すものの、7.2%にとどまる見込みで、営業利益率、ROE(株主資本利益率)ともに「10%以上」という現中期経営計画の目標は未達になると見ています。

新たなビジネスモデル構築に向け、歩みを開始した当社の成長戦略は、来年公表予定の次期3カ年中期経営計画で明確にご説明する予定です。計数目標もそこで正式にご報告させていただきますが、ここでは大きなイメージをお話ししたいと思います。2021年3月期におけるセンサビジネスは、まだ買収企業とのシナジーを生み出す途上にある見込みです。それでも年率8%で拡大していくと予想される対象市場において、当社のシェアを現在の約13%から約20%に高めていきたいと考えています。思い描く売上高の規模は、現在のほぼ倍の水準となる約2,000億円です。現状を踏まえると、実現に向けた材料は充分にあると思います。そこに既存の部品事業のオーガニックグロースによる1兆2,000億円、そこにセンサの売上高2,000億円、さらに電源製品を中心としたパワーソリューション関連の売上高1,000億円を積み上げた1兆5,000億円が、計画最終年度の連結売上高のイメージです。新たなビジネスモデルを構築しながら、収益構造の強化も並行して進めていく考えです。利益目標はこれから精査していくことになりますが、2,000億円規模の営業利益創出に挑戦していきたいというのが私の想いです。

オーガニックグロース:社内の内部資源を活用して現状の製品の売上を伸ばし、成長すること。

次期中期経営計画に向けた足場固め戦略基盤を徹底的に鍛え上げていきます

2018年3月期は、次期中期経営計画に向けた準備を着実に進めていきます。

戦略の基盤となる受動部品や素材事業の強化が最重要課題です。特に、モノづくり力の強化を通じたQDC(品質・納期・コスト)競争力の向上に力を注いでいきます。

TDKはこれから、自動車市場をはじめ、部品の品質が人の命に関わる分野で事業を拡大していきます。プロダクト・ライフサイクルは、家電製品は3~5年程度、自動車や社会インフラは10年以上継続して搭載されることが想定されます。そこでは従来のように出荷時の品質保証だけではなく、「出荷後品質」も保証していくことが当社にとって使命となり、それが競争力にもつながると考えています。当社は「インダストリ4.0」に「ゼロディフェクト(不良品ゼロ)」を加え、生産効率の追求にとどまらず、IoTを駆使した源流管理を通じて素材から品質を徹底管理して、圧倒的な品質の安定性を実現していきます。秋田の新工場では、さまざまなセンサが読み取ったエネルギーの消費パターンや振動などのデータをビッグデータとして吸い上げ、品質データと擦り合わせて解析するモデルラインの導入を、積層セラミックコンデンサの生産ラインから進めています。フェライトや磁石、電池などへの展開に加え、世界中の生産拠点にも横展開し、世界中で同一品質を確保する「ロケーションフリー」を実現していく考えです。

センサ事業では、さまざまな事業部門に分散していた組織を統合し、6つのグループ会社が世界13カ国に開発・生産拠点を有するセンサシステムズビジネスカンパニーを新設しました。リソースの共有や開発、マーケティング、生産での部門横断的な連携を進め、センサ事業のスピーディな立ち上げを実現していきます。エナジー関連事業でも、事業拡大に向けた体制整備を進めていく考えです。

HDD用磁気ヘッドは、HDD 1台当たり搭載数の増加が見込まれるニアライン向けHDDを除き、成熟化がさらに進行していく見通しです。熱アシスト記録をはじめとする先進技術の提供により、お客様をサポートしていくとともに、米国のHeadway Technologies, Inc.(以下、Headway Technologies社)やSAE 社を中心としたリーンなオペレーションで、安定的な収益の確保を目指します。また、2016年10月に買収したHutchinson Technology Incorporated(以下、Hutchinson社)の生産・開発技術を融合し、サスペンション事業の垂直統合を実現して、事業統合のシナジーを最大化するとともに、同社の技術をICT市場などの新しい部品に応用展開していく方針です。

「100年企業」に向けて突き進む社会が必要とするものを追い求め続けます

新たな変革に踏み出したTDKが戦略を確実に遂行し、2035年に創業100年を迎え、そしてその先も持続的に企業価値を拡大していくための最も重要な課題は、「人」です。1950年からグローバル化を進めてきたTDKは、買収企業の多様な文化や価値観を自然に受け入れ、彼らのダイナミズムを取り込むことで「多様性の強さ」を醸成してきました。現在18名の執行役員のうち、6名が日本人以外の執行役員であり、経営層の多様化は着実に進んでいます。しかし、近年のM&Aを通じて一層多様性に溢れる企業グループとなったTDKが、真のグローバル企業へと発展していくためには、グループ全体が同じベクトルを向くよう、人材マネジメントを強化していかねばなりません。2017年4月には、Andreas Kellerを人財・総務本部長に任命し、国境を越えた人事交流や、グループ全体で統一された人材育成・教育方針の確立に加え、グローバルベースで有能な人材を見出し、能力を高度に活用していくための仕組みづくりも推し進めています。

私たちが持続的に発展していくために守り続け、実践し続けなければならない最も大切なことは、冒頭で触れた「創業の精神」です。アンテナを常に高く掲げ、「次に社会が必要とするものは何か」を敏感に察知し、TDKならではの「創造」によって課題を解決していくために、グループ全体に社是「創造によって文化、産業に貢献する」をさらに浸透させていく考えです。またTDKは、世界約30カ国に拠点を有し、売上高の9割を海外が占めていますが、グローバル化が加速している近年はサプライチェーンも拡大し、地域社会や環境に負荷をかけるリスクも相応に高まっています。SDGs(持続可能な開発目標)などの社会的要請に的確に対応しながら、社会とともに持続的な発展を遂げていきたいと考えています。

TDKがこれから歩んでいく道は、これまでの延長線上にない道です。80数年前に齋藤憲三が抱いた「社会的価値があるという信念を持って、あきらめずに取り組めば必ず道は開ける」という想いを私たちも胸に刻みながら、TDKグループ一丸となって未来を切り拓くための挑戦を続けていきます。

2017年10月
代表取締役社長
石黒 成直

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社長メッセージ