経営陣からのメッセージ経理・財務本部長メッセージ

山西 哲司

TDKの新たな
「非連続な進化」を
財務面から強力に
後押ししていきます。

取締役
常務執行役員
経理・財務本部長
山西 哲司

2017年3月期のレビュー買収資金の確実な調達に力点を置きました

2017年3月期のTDKは、大規模な事業ポートフォリオの転換を推し進めました。高周波部品などの提供を行う合弁会社RF360社の設立に関連するQualcomm社との契約に基づき、当社は2017年2月に高周波関連事業の譲渡資金の51%相当の約1,300億円を受け取り、残りの持分49%相当額は、2019年8月に受け取る予定です。2017年3月期は、譲渡完了に先行してM&Aを進めていったため、買収資金の調達を財務・資本戦略の最優先事項としてきました。確実にM&Aを実行できるよう、当社としては初めてコミットメントラインを設定し、充分な調達枠の確保に努めました。

2017年3月期の売上高は、前期比2.3%の増収となり、営業利益は前期比1,153億円増となりました。高周波部品事業の譲渡益1,444億円および、構造改革費用212億円など一次発生損益を控除した855億円を実質営業利益とすれば、営業利益率は7.3%となります。高周波部品事業の譲渡を前提としても、現中期経営計画(2016年3月期~2018年3月期)達成の見通しは立っていましたが、①受動部品および二次電池の収益水準の伸び悩み、②買収企業の収益貢献タイミングの遅れ、③磁石事業を中心とする収益改善の遅れなどが要因となり、経営目標として定めた「営業利益10%以上」「ROE(株主資本利益率)10%以上」の達成は難しい状況になりました。

2018年3月期の位置付けと重点施策フリー・キャッシュ・フローの黒字化により
財務体質の安定化を進めます

2018年3月期は、次期中期経営計画に向けた助走期間という位置付けです。高周波部品事業の譲渡に伴う業績インパクトの吸収を意図した約800億円という営業利益計画は、オーガニックグロースを前提として組み立てた計画です。既存事業の受注動向を勘案すると、充分に射程圏内に入る目標です。HDD用磁気ヘッドやアルミ電解コンデンサ、磁石は、今期の減損で事業構造改革の目途が立っており、今期において収益構造転換に向け道筋が付く見込みです。

積極的なM&Aや、3年間で約4,900億円と減価償却費の2倍弱に相当する設備投資を計画するなど、現中期経営計画は投資先行で進めてきたこともあり、2017年3月期末の株主資本比率は47.7%まで低下しています。InvenSense社の買収資金も借り入れで賄っているため、2018年3月期はさらに低下する見込みですが、設備投資の選択と集中ならびに、M&Aの成果の確実な創出を通じ、フリー・キャッシュ・フローの黒字化を目指しながら財務体質の安定化を進めていき、次期中期経営計画につなげていく考えです。

次期中期経営計画の方向性選択と集中を徹底した投資により
資本効率を高めていきます

2018年4月には次期中期経営計画を公表する予定です。収益見通しはそこで正式にご説明させていただきます。

資本構成に関しては、中期的に株主資本比率50%以上、D/Eレシオは2017年3月期の0.4倍強から0.3倍程度への改善を目指していきます。これは、技術革新がきわめて激しく、為替やマクロ環境による影響を受ける業界の中で、長期的な視座で投資を実施していくとともに、資金調達の柔軟性を確保するためです。そのために、設備投資は選択と集中を行い、償却費プラスアルファを目安に実行していくことで、フリー・キャッシュ・フローを確実に創出していきます。

配当については、配当性向30%を目標とし、1株当たり利益の成長を通じて、配当の安定的な増加に努めていく方針です。次期中期経営計画期間中は、さらなる需要拡大、とりわけ2020年以降にEVの需要拡大が予想され、増産投資が必要になる可能性もあります。需要増加に適時に応える投資を通して創出される余資は、自社株取得を含む株主還元に活用することも選択肢に入れていきます。

戦略と現場を有機的に連動成長戦略を現場の施策に
確実に落とし込んでいきます

資本効率の向上にも注力していきます。経営陣が描いた成長ビジョンを、財務・資本戦略はもとより、現場の施策にいたるまで有機的につなげながら、その実現を図っていきます。取り組みの一環として強化を進めているのが業績管理フレームワークです。当社は、1999年に導入した資本コスト(加重平均資本コスト×投下資本)に対するリターンを比較したTVA(TDK Value Added)を採用しています。このTVAに結びつくロジックツリーで、各事業の収益性評価や事業資産の効率性評価、キャッシュの獲得能力の評価などを実施するとともに、現場の各種施策および特性に合わせたKPIにまで要素分解しモニタリングします。これによって成長戦略を全社一丸となって推進していくと同時に、投資効率の管理強化により設備投資の選択と集中にもつなげながら、15%以上のROEを実現できる体質を構築していきたいと考えています。

D/Eレシオ:企業の資金源泉のうち、負債が資本の何倍に当たるかを示す指標で、企業経営の健全性を測るために用いられる指標の一つ。

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