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2019年6月13日

風力発電と太陽光発電の省エネ送電を支える、パワーコンデンサ・ソリューション

省エネ化や環境・気候への負荷低減を実現する社会の確立に向け、洋上風力発電所や遠隔地の太陽光発電所などの再生可能エネルギーと電力使用者とのネットワークに必要な送電網が大きな注目を集めています。ところが送電距離が長距離化するほどに、電力ロスが発生するという課題があります。このため、世界の電力会社では、そうした電力ロスを最小限に抑えるため、電圧型コンバータ(VSC)HVDC送電システムの採用を拡大しています。

電圧の安定化が、洋上風力発電を支えるHVDCの課題

高電圧直流(HVDC※1)システムの市場規模は、今後大きな成長が見込まれます。2018年には70億米ドルをわずかに上回る規模であったHVDCの世界市場は、2025年までには60%以上増加し、約115億米ドルに達すると予想されます。
この成長の主な要因としては、EVやデータセンターの電力需要の増加に加えて、再生可能エネルギーの利用拡大があります。そして、大型の風力発電所や太陽光発電所の多くは、電力使用者から遠く離れた場所に設置されているため、従来の交流送電よりも電力ロス(※2)を極力少なくする送電線が必要となります。そこで求められるのが、HVDC送電システムです。HVDC送電システムで使用されるコンバータは直流定電圧を出力するため、電圧型コンバータ(VSC)と呼ばれています。長距離送電において、VSC HVDCシステムは、交流送電システムに比べて電力ロスが大幅に少なくなります。これにより、海底ケーブルや長距離陸上連系線を通して、遠隔地の施設からの効率的な長距離送電が可能です。特にVSC HVDC送電技術は、変換所が洋上プラットフォームに設置できるほど小型であるため、洋上風力発電所などの再生可能エネルギーに適しています。また、この技術により、電圧が同期されていない電力網への相互連系と、交流システムよりもはるかに優れた制御が可能になります。さらに、HVDC送電システムには、電線などの敷設コストを削減できるといったメリットもあります。
HVDC送電システムにおいて、重要な課題として挙げられるのが電圧の安定化です。長距離送電では電圧は不安定となり、配電系統の損傷や電力使用者の機器が破損するといった問題が生じる可能性があります。これらを解決するためには、大幅な電圧変動に対応が可能となる大容量のパワーコンデンサが求められます。また、産業用電力インフラや鉄道輸送用途に使用されており、耐久性や信頼性が高いこともパワーコンデンサに求められる要件です。

EVやデータセンター向けの電力需要の高まりや再生可能エネルギーの増加が、HVDC市場の成長を牽引しています。
EVやデータセンター向けの電力需要の高まりや再生可能エネルギーの増加が、HVDC市場の成長を牽引しています。
写真中央にあるのが変換所。ここに電力を平滑化するパワーコンデンサが用いられます。
写真中央にあるのが変換所。ここに電力を平滑化するパワーコンデンサが用いられます。

小型・大容量で長寿命なパワーコンデンサは、HVDCソリューションの重要な役割を担う

TDKのパワーコンデンサは、HVDC連系線の両端に位置する変換所で使用される重要な部品です。変換所では、送電のために交流電圧を直流電圧に変換し、また電気が電力網に送られるよう再び交流電圧に変換します。パワーコンデンサは、変換された直流電圧を安定化させる役割を担い、また電力網に適切な交流出力になるよう調整します。世界各地で再生可能エネルギーの利用が拡大するに伴って、今後も継続的に、送電ロスの低減や省エネに貢献するのは、こうしたパワーコンデンサです。
技術的な特徴としては、TDK独自のフラットワインディング方式(※3)を採用したパワーフィルムコンデンサにより、体積充填率(※4)約95%を達成。同時に、静電容量が最大10000μF超(※5)と大容量化を実現しました。このようにエネルギー密度が非常に高く、約350×600×160mmというコンパクトなサイズが特色です。そのため、大容量のわりに非常に小型で、海上の変換所という限られたスペースで抜群の力を発揮し、電圧の変動を抑制します。さらに、自己修復機能を備えており、コンデンサ内で過電圧による絶縁破壊が発生しても数マイクロセカンドの短時間で絶縁状態を回復し、短絡(ショート)を防止します。温度と電気的特性の長期安定化により、非常に信頼性が高く動作寿命は最長40年に達します。
欧州各国や米国、中国における多くのHVDCプロジェクトには、TDKのパワーコンデンサが採用されており、TDKはHVDCシステムにおける重要サプライヤーとしての確固とした地位を確立しています。その一例が、北京と張北(北京の北西約250キロメートルに位置する都市)間のHVDCプロジェクトです。この新たな送電網は、世界最大手の電力会社である国家電網公司(SGCC)により設計され、2022年の北京冬季オリンピック開催時に、遠隔地にある風力、太陽光、水力エネルギー源からクリーン電力を供給するうえで重要な役割を果たします。このHVDC送電網は、世界最大の電圧レベル(550kV)と最大送電容量を同時に備えるという特色を持ちます。パワーコンデンサは変換所における重要な部品であり、HVDC連系線の始点に供給される交流を、長距離送電が可能な直流に変換します。また、反対に直流から交流に変換する変換所にも設置されます。

張北高電圧直流(HVDC)送電網により、遠隔地の風力、太陽光、水力エネルギーを1つの送電リングに統合し、北京にクリーン電力を供給します。
張北高電圧直流(HVDC)送電網により、遠隔地の風力、太陽光、水力エネルギーを1つの送電リングに統合し、北京にクリーン電力を供給します。
写真は、スペインにあるTDKのマラガ工場でHVDC用途のパワーコンデンサを生産する様子です。
写真は、スペインにあるTDKのマラガ工場でHVDC用途のパワーコンデンサを生産する様子です。
TDKの「MKK DCi-Rタイプ」は、特許取得済みのフラットワインディング方式を採用し、従来製品よりエネルギー密度を約10%向上した、小型パワーフィルムコンデンサです。
TDKの「MKK DCi-Rタイプ」は、特許取得済みのフラットワインディング方式を採用し、従来製品よりエネルギー密度を約10%向上した、小型パワーフィルムコンデンサです。350mm×600mm×160mmというコンパクトなサイズにすることができます。

用語解説

  1. 高電圧直流(High Voltage Direct Current:HVDC)とは、電力インフラで、発電所からの送電を交流(AC)ではなく200kV~500kVの高圧の直流(DC)で行う技術。
  2. 電力ロス(送電ロス)とは、発電所で発電した電気を居住用ビルや商業用ビルに送電する間に、送配電線の抵抗によって一部の電気エネルギーが失われてしまうことをいう。一部の電力ロスは、変換所でも発生する。
  3. フラットワインディング方式(扁平巻回形内部素子)とは、TDKが使用する独自の先進技術であり、まず導電性金属箔と絶縁性誘電体膜を交互に巻き付けて何千層にも重なったコンデンサ層を作り、次に円筒状の巻線を長方形に近い形に圧縮成形する。ステンレス鋼ケースに収納され、省スペースであるだけでなく、高いエネルギー密度も備える。
  4. コンデンサの体積充填率とは、コンデンサ層がケース内を占める割合のこと。TDKのフラットワインディング方式は、約95%の体積充填率を達成している。
  5. 静電容量とは、コンデンサが電荷を蓄積する能力のこと。非常に大きな測定単位であるF(ファラド)で表される。HVDC用途のTDKのパワーフィルムコンデンサは、10000μFを超える静電容量を持つ。
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