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よりリアルなAR/VR体験を追求する、MEMS超音波センサ・ソリューション
公開日: 2019年11月6日

よりリアルなAR/VR体験を追求する、MEMS超音波センサ・ソリューション

AR/VR(拡張現実/仮想現実)システムは、エンターテインメントの分野から、近年は産業用や教育・医療などの分野での活用が広がっています。例えば、バーチャル空間の中で、難度の高い作業や手術などのシミュレーションを実現します。こうした、高度な位置・動きの検出によって、バーチャルな空間の中でリアルな体験を可能にするのは、センシング技術です。近年、AR/VRシステムにおける対象物までの距離の計測には、ToF(Time-of-Flight)という方式が採用されており、超音波センサが大きな注目を集めています。

よりリアルなAR/VRシステムの課題は、超音波センサの極小化

HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を用いた各種のAR/VRヘッドセットが手ごろな価格で発売された2016年以降、世界のAR/VR市場は急激に拡大し、2025年には11 billon USD以上にのぼると予測されています(富士キメラ総研『2017 AR/VR関連市場の将来展望』)。また、これまでAR/VRシステムは、ゲームなどのエンターテインメント向けがメインでしたが、今後は組立・製造、運輸、小売、教育、医療などの分野での活用が推進されると見込まれています。

AR/VRの世界市場

AR/VRの世界市場

出典:富士キメラ総研『2017 AR/VR関連市場の将来展望』

最新のAR/VRシステムは、バーチャル空間の中で、難度の高い作業や手術などのシミュレーションを可能にします。HMDとハンドコントローラの双方を6-DoF(6自由度)対応(※1)とすることで、バーチャル空間の身体の動きと実空間での身体の動きが違和感なく合成することができるようになったからです。これはセンサを用いた「位置トラッキング(※2)」という技術によるもので、対象物までの距離の計測には、ToF(Time-of-Flight)という方式が採用されています。
ToFとは、光や赤外線、超音波を照射して、対象物で反射して戻ってくるまでの時間差から、対象物までの距離を測定する方式です。光や赤外線を用いた方式は、精度に優れるものの物体に遮蔽されると計測ができず、また、ガラスなどの透明な物体の距離計測が苦手です。一方、超音波方式は照明条件や物体の大きさや色にかかわらず、反射性の高い対象物でも、正確に距離が検出できます。しかし、これまで超音波センサには複雑な信号処理が必要であり、家電製品に組み込むには大きすぎるという課題がありました。

超小型・MEMS超音波センサによる、ToF(Time-of-Flight)ソリューション

そこでTDKが新開発したのが、従来型とくらべて体積1000分の1という極小サイズの超音波ToFセンサCH-101です。Chirpブランドで提供する、MEMSベースの超音波センサとしては世界初となる画期的な製品です。これは、PMUT(圧電MEMS超音波トランスデューサ※3)、電力効率に優れるDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ※4)、低消費電力のCMOS ASIC(※5)を組み合わせ、3.5×3.5×1.25mmの小型パッケージに収納した製品です。

従来型とくらべて体積1000分の1という極小サイズへ

従来型とくらべて体積1000分の1という極小サイズへ
PMUT(圧電MEMS超音波トランスデューサ)、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、CMOS ASICを、3.5×3.5×1.25mmの小型パッケージに収納して、従来型とくらべて体積1000分の1のサイズにしました。

コウモリが暗闇の中でも衝突することなく自由に飛び回れるのは、パルス状の超音波を発して対象物からの反響(エコー)を受け取り、その大きさや位置、速度などを検知しているからです。これはエコーロケーション(反響定位)と呼ばれます。超音波センサを用いた位置トラッキングも、これと同様の原理によるものです。
CH-101は、内蔵したPMUTが超音波パルスを発して、視野内ある対象物の反響を受け取り、さまざまな信号処理をすることで、対象物までの距離や位置の検出、対象物の存在・近接の検知や回避など、幅広い用途に対応することができます。従来型の超音波センサとくらべて100分の1という低消費電力も大きな特長で、環境性能に優れています。

「どこでもVR」を支える、超音波センサCH-101

「どこでもVR」を支える、超音波センサCH-101
従来の光学式センサを搭載したVRシステムは、赤外線を飛ばし、その赤外線にヘッドセットやコントローラが反応して位置を割り出す、外部センサやコードなどが必要でした。一方、超小型の超音波センサCH-101を搭載したVRシステムは、ヘッドセットとコントローラだけでVR体験が可能となりました。超音波センサCH-101は、HTC社のスタンドアローンタイプのヘッドセット「Vive Focus Plus All-in-One」に採用されています。

超音波センサCH-101は最大検知距離が100cmですが、これを500cmまで拡大した製品CH-201の量産化も2019年内にスタートします。AR/VRヘッドセットほか、スマートホーム、ドローン、ロボティクス、スマートフォン、ウェアラブル機器など、MEMS技術による小型化で従来にない、多彩なアプリケーションが期待できます。

多彩な分野で活躍する超音波センサ

多彩な分野で活躍する超音波センサ

超音波ToFセンサ「CH-101」

超音波ToFセンサ「CH-101」
「CH-101」は、MEMSベースの超音波ToFセンサです。光学ToFセンサと比較して、ガラスなど透明な対象物を含むサイズや色に左右されない正確な距離測定が可能で、周囲の雑音・騒音などの環境ノイズに影響されないなどといった特徴があります。
詳細はChirpのウェブサイトをご覧ください。
Chirp (CH-101)

用語解説

  1. 6-DoF:DoF(Degree of Free): X軸・Y軸・Z軸の回転に対応するのが3-DoFで、6-DoFはこれに加えてX軸・Y軸・Z軸方向の移動にも対応できることを意味する。
  2. 位置トラッキング:AR/VRシステムにおいては、センサを用いてHMDやハンドコントローラの位置や向きを検出し、実世界の動きとバーチャル世界の動きとを連動させる技術。
  3. PMUT(圧電MEMS超音波トランスデューサ):圧電効果を持つ、MEMSをベースとする超音波発信素子のこと。
  4. DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ):デジタル信号を専門に処理するマイクロプロセッサ(CPUと言われる機能をマイクロチップで実装したもの)。
  5. CMOS ASIC:CMOSを用いてつくられた、ASIC(特定用途向けIC)のこと。CMOSとは、LSI(大規模集積回路)の構造の種類のひとつ。
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