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データセンターの敵、サーバの発熱と戦う
公開日: 2020年5月29日
最終更新日: 2020年7月28日

データセンターの敵、サーバの発熱と戦う

クラウドコンピューティングや5Gの登場などにより、インターネット上のデータは音声、動画、ゲームなど大容量化が進んでいます。また、世界的にリモートワークやオンライン授業が普及するなど、今後さらにネットワーク通信量の増加が予想されています。膨大な量のデータを処理するデータセンター(※1)では、低消費電力で発熱を抑えられるサーバへのニーズがますます高まっています。

データセンターの消費電力削減のために、サーバの発熱を抑える技術課題

一般的にデータセンターは、サーバを設置するスペースに加え、大容量・高速の通信環境や高度なセキュリティ、堅牢性の高い地震対策設備や自家発電装置などを整備することが求められます。その中でも、大きな課題となっているのが電力消費量です。

データセンターのエネルギー消費量予測(世界)

データセンターのエネルギー消費量予測(世界)

出典:経済産業省/グリーンIT推進協議会試算(2008)

データセンターの消費電力の大半が、サーバなどのIT機器の消費電力と、冷却のための空調によるものです。その消費電力はますます伸びていくと予想されます。

データセンターは、より大量のデータを高速処理するために高性能なサーバが数多く必要ですが、同時に、消費電力や発熱量が増大してデータセンター内部が高温になります。これによって、サーバが誤作動やシステムダウンを起こす可能性があるため、冷却しなければなりません。ところが、このサーバを冷やすための空調設備にも電力が必要となるため、結局、データセンター全体での消費電力量はさらに増えてしまうという、構造的な問題を抱えています。SDGsが注目を集める中、社会全体で節電が求められており、加えてコスト削減のためにも、データセンターでは電力消費をいかに削減するかが大きな課題となっています。

データセンターにおける消費電力削減の取り組みとしては、センター全体の直流給電化や空調効率化などが挙げられますが、根本的な解決策としてはサーバ自体の発熱化を抑えることです。そのための取り組みの一つとして、サーバの心臓部とも呼べるIC(半導体集積回路)を含む電子回路の省電力化を進める必要があります。しかし、データセンターにおけるサーバICに電力を供給する電源は、サイズの問題でIC近くに設置することができず、配線が長くなってパワーロス(※2)が発生し放熱するという課題を抱えています。

サーバシステム全体の消費電力削減に貢献する、超小型DC-DCコンバータ・ソリューション

そこでTDKが新開発したのが、世界最小クラスで世界最高クラスの電流密度を達成した超小型DC-DCコンバータ(※3)です(3.3mm×3.3mm×1.5mmサイズで出力電流6A)。これによって、IC近傍に配置することが可能で、配線によるパワーロスを抑えることができ、サーバの発熱防止に貢献します。IC近傍への超小型DC-DCコンバータへの配置はTDK独自提案で、製品名・μPOL™は登録商標をとっています。POLとは、Point Of Loadの略で近傍へ配置するという意味です。

また、小型で高密度に加えて、優れた放熱特性を誇り、従来製品が自己発熱により60℃程度から出力電流が変動するのに対して、温度変化に対する出力変動がほとんどありません。これによって、通常は実装が難しいエアフロ―(※4)がない回路基板の裏側までも実装することができ、設計の自由度が大幅に向上します。その結果、電子回路の省スペース化をもたらし、システム全体としても消費電力が削減できます。

μPOLは、データセンターだけでなくネットワーク&情報通信分野や基地局、デジタルスチルカメラのような精密機器のICなどでも活躍します。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を支える、高速データ通信用のシリアルバス(※5)にも貢献します。

超高電流密度を実現したμPOL

超高電流密度を実現したμPOL
μPOLは、従来品より実装面積を50%以下に抑えながら、1W/mm3を超える高電力密度ソリューションを提供しています。

μPOLは、2018年にTDKが買収した米国のベンチャー企業である、電源IC設計会社・Faraday Semiが開発しました。同社が開発した高機能な「IC」を、TDKが独自開発したパッケージング技術「SESUB(※6)」に内蔵させ、TDK創業の原点となっている磁性技術を活用した「インダクタ(※7)」を、3D実装技術(※8)で組み合わせたものです。世界最小クラスで世界最高クラスの電流密度を達成したμPOLは、ベンチャー企業の技術力・発想力と、85年の歴史を持つTDKのコアテクノロジーを活用して生み出されました。

複数の電子部品を統合した µPOL

複数の電子部品を統合した µPOL
Faraday SemiのICをTDKの3D-Package技術SESUBに内蔵、さらにTDKのインダクタを搭載して小型・低背化したのがμPOLです。

マイクロDC-DCコンバータ「μPOL™」

マイクロDC-DCコンバータ「μPOL™」

3.3mm×3.3mm×1.5mmサイズで出力電流6A、5.8mm×4.9mm×1.6mmサイズで出力電流12Aを実現した、世界最小サイズのDC-DCコンバータ「μPOL」です。詳細はプロダクトセンターをご覧ください。

用語解説

  1. データセンター:サーバやネットワーク機器などのIT機器を設置、運用する施設・建物の総称。データセンターの中でも、インターネット接続を行うことに特化したものをインターネットデータセンターと呼んでいたが、近年では、爆発的なデータ増加に伴ってデータセンターと呼ぶことが多くなっている。
  2. パワーロス:送電の際、電気エネルギーの一部が熱となって奪われてしまうこと。
  3. DC-DCコンバータ:直流を直流へ変換する電源装置の名称。
  4. エアフロー:電子回路における空気の流れを指す。電子回路を設計する場合、ICや部品の冷却のために、エアフローを考えて設計することが一般的に求められる。
  5. シリアルバス:パソコンや電子機器の内部同士や、内部と外部でデータをやりとりする経路をバスと呼ぶ。シリアルバスは、1ビットずつ順番にデータを転送するバスのことを指す。
  6. SESUB:樹脂基板の中にIC(半導体)を内蔵し、受動部品等を3次元実装してモジュール化する技術。
  7. インダクタ:磁性材料のまわりにコイル導体を巻き付けた構造の電子部品。ノイズを除去したり、欲しい信号を取り出したり、信号を整えたりする役割や、電圧を安定化させる機能がある。
  8. 3D実装技術:半導体ICチップを重ねて一つのパッケージに収める技術。
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