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スマホ望遠カメラで、手ブレせずに満月をキレイに撮影できる理由とは?
公開日: 2020年9月30日

スマホ望遠カメラで、手ブレせずに満月をキレイに撮影できる理由とは?

近年、数十倍のズーム機能を利用して、地上から満月のクレーターをキレイに撮影できる、スマートフォンが登場しました。ズーム機能を使った夜間撮影で、手ブレによる画像の乱れがなぜ起きないのでしょうか?その秘密は、OIS(光学式手ブレ補正※1)に使用されるカメラモジュール用レンズアクチュエータ(CMA)の存在です。

カメラレンズの高機能化によって、さらに重要になる手ブレ補正機能

年々、進化を続けるスマートフォンのカメラ性能。デジタルカメラのように鮮明でキレイな写真が撮れるモデルも発売されています。

カメラ機能がここまで進化を続けている理由のひとつが、搭載レンズの複数化です。レンズを二つ装着するデュアルカメラ、三つ装着するトリプルカメラ、四つ装着するクアッドカメラなどが、続々登場しています。これらは、異なる特徴をもつレンズを組み合わせて使用することで、多彩な表現力のある撮影を可能にします。そのひとつが高画質なズーム撮影です。焦点距離(※2)や画角の異なるレンズを複数搭載すると、画質の劣化の少ないズーム写真を撮影することができます。これは、単純に撮影した画像の一部を拡大するデジタル式ズームではなく光学式ズームにできるためで、ズーム機能を備えたスマホカメラは人気を集めています。

スマートフォン搭載カメラの市場予測

スマートフォン搭載カメラの市場予測

Market Breakdown of Camera Phone -2nd Half 2019 & 1st Half 2020 Forecast- 株式会社テクノシステムリサーチ

スマートフォン搭載カメラの市場は、レンズの複合化が進行しています。ペンタカメラとは5つのレンズを搭載しているカメラのことです。

近年では、地上から満月のクレーターまで撮影できる、数十倍もの高倍率ズーム機能を備えたスマートフォンも登場しました。しかし一方で、こうした撮影は手ブレによる画像の乱れが起きやすくなります。ズーム機能を使った撮影(焦点距離が大きい撮影)では、被写体が大きく写るため、手ブレも大きくなります。また、夜間のような光が少ない撮影ではシャッタースピードが遅くなり、手ブレが発生しやすいためです。その上、通常のデジタルカメラに比べて、スマホカメラはその形状から手ブレが起きやすいという構造的な弱点も抱えています。高画質になればなるほど画像の乱れも目立ちやすくなるため、スマホカメラにとって、手ブレをいかに抑えられるかが大きな課題となっています。

OISの複合製品でスマホ望遠カメラの手ブレを補正する、レンズアクチュエータ・ソリューション

マイクロアクチュエータソリューションズBG
TDK台湾 Division Director
工学博士 胡朝彰

この課題を解決するのが、OIS(光学式手ブレ補正)に使用される、カメラモジュール用レンズアクチュエータ(CMA)です。手ブレによる急な動きを打ち消すように、アクチュエータがレンズ位置を動かすことで、ズーム撮影による手ブレを補正します。この技術について、製品を開発したTDK台湾のDivision Director 胡朝彰氏にお話を伺いました。

「そもそもスマホカメラにおける手ブレは、撮影開始から終了までの間に、イメージセンサが認識している光の位置がズレることにより発生します。この光のズレを補正するのがOISです。当社は、スマホカメラの黎明期よりOISを手掛けている企業です。例えば、現在では業界の主流となっていますが、OISの支持部材としてサスペンションワイヤ(※3)をいち早く採用して開発を行ったのも当社です。これによってスムーズな駆動が可能になり制御性が増して、手振れ補正効果が向上しました」。

TDKのOISは、X・Y・Zの 3軸駆動による強力な手ブレ補正で、世界中のスマホカメラで採用されています。また近年では、カメラの高画素化に伴ってレンズの大口径化が進み、OISにも大きな駆動力のアクチュエータが求められてきました。そこで、直径わずか25um(※4)の形状記憶合金(SMA※5)を採用し、業界随一の駆動力を有しながら小型化を実現した製品もラインアップしています。

OISの仕組み

OISの仕組み
OIS(光学式手ブレ補正)機能に使用されるCMAです。X軸・Y軸・Z軸の3方向による駆動で、レンズ位置を動かすことによって手ブレを補正します。

そして、世界に先駆けて開発したのが、数十倍もの高倍率ズーム機能に対応したOISです。これは、レンズに加えてプリズム(※6)も動かすことによって手ブレ補正を行うOISの複合製品です。わずか12 x 17.6 x 5.6 mmの中に、プリズムアクチュエータのOISと、レンズアクチュエータのOISが搭載されています。

「独自のシミュレーションを駆使した設計技術や長年培ってきたアクチュエータ製造技術によって、難易度の高いプリズムアクチュエータや複合製品を実現できました。これまでの実績をスマートフォンメーカー様から評価していただき、いち早く当社にズーム用OISに関して相談いただいたのが、世界に先駆けて開発できた理由です」と、胡氏は語ります。

ズーム用OISの仕組み

ズーム用OISの仕組み
数十倍のズーム機能を持つカメラには、プリズムアクチュエータ(OIS)と、レンズアクチュエータ(OIS+オートフォーカス用のCMA)を加えた複合製品で、光のズレを補正しています。

最後に今後のスマホカメラの展望について、胡氏はこう語ります。「今後のズーム機能は、デジタルカメラのように、広角から望遠まで変えられる連続ズームが求められていくと考えられ、その手ブレを防ぐOISをつくりたいと思います。さらに、スマホカメラでの活用が期待されるAR機能についても、当社のオートフォーカス用CMAを応用して、より便利で新たな世界を切り拓いていきたいと考えています」。

スマホ望遠カメラ用・カメラモジュール用レンズアクチュエータ(CMA)

スマホ望遠カメラ用・カメラモジュール用レンズアクチュエータ(CMA)
12 x 17.6 x 5.6 mmの中に、プリズムアクチュエータのOIS+レンズアクチュエータのOISが搭載されている、スマホ望遠カメラ用・カメラモジュール用レンズアクチュエータ(CMA)のOISです。

用語解説

  1. OIS:スマホカメラの代表的な手ブレ補正には、OIS(Optical Image Stabilization、光学式手ブレ補正)の他に、DIS(電子手ブレ補正、Digital Image Stabilization)がある。
  2. 焦点距離:レンズの焦点距離とは、レンズの中心からイメージセンサまでの距離のこと。通常は「mm」という単位で表され、数値が小さいほど広範囲を写せる「広角」に、数値が大きいほど遠くの被写体を写せる「望遠」となる。
  3. サスペンションワイヤ:主に、カメラモジュール、光学ピックアップなどのレンズを懸架(けんか)する線状バネ。
  4. μm(マイクロメートル):1μmは、1/1000mm=1/1000000mの長さ。
  5. 形状記憶合金:SMA(Shape memory alloy)。変形後にある一定の温度以上に加熱すると元の形状に回復する性質をもつ合金。
  6. プリズム:ガラスなど透明体の三角柱で、光を屈折・分散させるもの。スマホカメラでは、光線の屈曲用途などに使用される。
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