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超小型の全固体電池が、IoT時代の扉をひらく
公開日: 2020年11月11日

超小型の全固体電池が、IoT時代の扉をひらく

現在広く普及しているリチウムイオン電池に代わる二次電池として、世界中で開発が進められている「全固体電池」。電解液の代わりに不燃性の固体電解質を使用するため、液漏れや発火の心配がなく、高い安全性と信頼性そして長寿命が特長の次世代電池です。TDKは世界に先駆けて、SMDタイプ*1のオールセラミック全固体電池「CeraCharge™(セラチャージ)」の製品化に成功。様々なIoT機器への搭載が期待されています。(写真提供:CookPerfect)

これまでのリチウムイオン電池の課題を解決する次世代電池「全固体電池」

あらゆるモノがインターネットにつながるIoT時代。その本格的な普及の鍵を握るのは、デバイスの小型化や通信性能の向上はもちろん、バッテリ性能にあるといっても過言ではありません。現在、リチウムイオン電池はエネルギー密度の高さから、ノートPCやスマートフォン、ワイヤレスイヤホンなど様々な電子機器のバッテリとして広く普及しており、さらにドローンや電動バイク、EV(電動自動車)などのバッテリとしての活用も進んでいます。しかし、電解質に可燃性の有機溶媒を使用するリチウムイオン電池は液漏れや発火のリスクがあるため、安全で信頼できるIoT機器のバッテリとして、固体電解質を使った「全固体電池」の開発が求められてきました。将来はEVなどの大容量バッテリも全固体電池に代わることが予想され、その市場規模は今後ますます拡大すると見られています。

小型全固体リチウムイオン電池・薄型電池の世界市場規模予測

小型全固体リチウムイオン電池・薄型電池の世界市場規模予測

(出所)(株)矢野経済研究所「次世代電池世界市場に関する調査(2019年)」(2019年12月25日発表)をもとに当社作成

今後約10年で、小型全固体電池の市場は急速な成長が予測されています。

従来のリチウムイオン電池と全固体リチウムイオン電池の違い

従来のリチウムイオン電池と全固体リチウムイオン電池の違い
全固体電池は、液体だったリチウムイオン電池の電解質を固体にすることで、高い安全性と長寿命を実現しています。

TDKが世界に先駆けて開発した、全固体電池の特長とは

世界中のメーカーが全固体電池の開発に取り組むなか、TDKは世界に先駆けて、SMDタイプの全固体電池「CeraCharge(セラチャージ)」の開発に成功しました。TDKの高度な積層技術をベースに開発され、大量生産しやすいのが特長です。セラミック固体電解質を使用することで液漏れや発火のリスクがなく、4.5mm×3.2mm×1.1mmのサイズで、定格電は1.5V、容量100μAh、動作温度範囲は-20℃~80℃を実現しています。また、SMDタイプのため電池の配置が容易なことから、組み立てコストを抑えることもできます。小型で安全、長寿命といった特長を活かして、様々な環境で使用されるIoT機器への搭載が期待されています。

全固体電池「CeraCharge™」の断面図(模式図)

全固体電池「CeraCharge™」の断面図(模式図)
CeraChargeは、TDKがこれまで培ってきた高度な積層技術を活かして製造されています。

調理用温度計のバッテリとして製品化がはじまる

小型で安全性の高い全固体電池、CeraChargeは様々なIoT製品への導入が検討されています。そのひとつとして2020年12月、調理用温度計のバッテリとして製品化が決まりました。様々な調理用温度計を製造するCookPerfect(本社:デンマーク)の新製品で、長さ約15cmの金属製のスティックに、5つの温度センサとBLE(Bluetooth Low Energy)*2の通信モジュール、そして全固体電池CeraChargeが搭載されています。スティック状の温度計本体をかたまりの肉に突き刺すことで、オーブン内で調理される肉の内部温度をスマートフォンでリアルタイムにモニタリングできます。クリスマスディナー用のかたまり肉も理想的な温度で調理できる、画期的な新製品です。

この製品を開発した、CookPerfect社の共同創業者兼マネージングディレクターのマーティン・クロスター氏は、製品についてこう語ります。「CookPerfectの設計を開始した2016年当時には、5つのポイントでの測定と複雑なアルゴリズムを実行でき、本体に内蔵できるバッテリ技術は存在しませんでした。しかし、CeraChargeによって初めて『完全ワイヤレス』の温度計を実現することができました」。高温になるオーブンやバーベキューグリルの中で使用され、食品に直接挿入する製品のため、信頼性や安全性は大切なポイントだったとクロスター氏は話します。「液漏れなどは決してあってはいけません。また、オーブン内でも問題なく使用できる広い温度範囲が必要でした。TDKのCeraChargeは、全固体電池で液漏れのリスクがないこと、直径3.7mmの本体にも設置できるコンパクトなサイズ、そして耐用温度が85℃まであることなどが、採用の決め手となりました」。

CookPerfect社のワイヤレス肉用温度計

CookPerfect社のワイヤレス肉用温度計
長さ約15cmの金属製のスティック内部に5つの温度センサと通信モジュール、そして全固体電池「CeraCharge」を搭載。調理しながらリアルタイムで肉の温度のモニタリングが可能。

(写真提供:CookPerfect)

温度センサと通信機能を組み合わせた肉用温度計のように、今後、様々なセンサを搭載した機器が普及し、本格的なIoT社会の到来が予想されます。多様なサイズや仕様に対応したバッテリのニーズも高まるなか、CeraChargeは現在、スマートメータ用のリアルタイムクロック(RTC)*3、ウェアラブルデバイスやスマートセンサなど、幅広い用途の機器への搭載が検討されています。

世界に先駆けて全固体電池を実用化したTDKは、さらに幅広いアプリケーションに対応するため、サイズと容量を増やした製品のラインアップを拡充していきます。ますます拡大するIoT市場をTDKのCeraChargeが支えていきます。

全固体電池「CeraCharge™」

全固体電池「CeraCharge™」
産業・コンシューマIoT向けの機器では、シンプルなガジェットから複雑な仕様のデバイスまでコンパクトで信頼性と安全性に優れた電源のニーズが高まっています。TDKはこれらの要求に対応できる、世界初の充放電可能なSMDタイプの全固体電池、「CeraCharge™」を開発しました。詳細は、プロダクトセンターをご確認ください。

用語解説

  1. SMD:SMD(Surface Mount Device):表面実装部品のこと。プリント基板の表面にはんだ付けで実装される電子部品。穴の空いたプリント基板にリードで実装する方法よりもスペースを取らず、機器の小型化を実現できる。
  2. BLE(Bluetooth Low Energy):近距離無線通信技術Bluetoothの規格のひとつ。低消費電力と低コストが特長で、IoT機器のための通信技術として注目されている。
  3. リアルタイムクロック(RTC):コンピュータや各種機器に内蔵され、システムの電源が切れた状態でも常に時刻を刻み続ける回路。
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