世界陸上@TDK

[No.4 棒高跳び] “鳥人”を生んだ素材のパワー

木の棒を使った跳び越えの技くらべがルーツ

棒高跳びは英語でポール・ボウルト(pole vault)といいます。陸上競技の中では跳躍種目の一つとなっていますが、ポールという道具を用いる点で、走り高跳びなどの跳躍(ジャンプ)とは区別され、棒高跳びの跳躍はボウルト、その競技者はボウルターと呼ばれます。

棒高跳びはもともと棒を使って、川や垣根を飛び越える技くらべから生まれたスポーツです。当初はヒッコリーやモミなどの木の棒が使われていたので、記録はせいぜい身長の2倍弱の2〜3m程度でした。その後、しなやかな竹が木の棒にかわって使われるようになり、オリンピックの種目に取り入れられてからは、記録は4m台にまで伸びました。
  
棒高跳びの世界最高記録は、長らくS・ブブカ選手が1994年に樹立した6m14でしたが、2014年にR・ラビレニ選手が2cm上回る6m16を達成しました。これは2階建て住宅の屋根ほどの見上げるような高さです。ポールにグラスファイバーやカーボンファイバーが採用されてから棒高跳びの記録は飛躍的に伸びました。とはいえ6m超の記録はめったに出るものではありません。ポール素材のパワーが、すぐれた身体能力によって最大限に引き出されたとき、6m超という大跳躍が生み出されるのです。 

1960年代のグラスポールの登場により 棒高跳びは一変した

20世紀前半、棒高跳びは日本の得意種目でした。1936年のベルリン五輪の棒高跳びでは、西田修平・大江季雄両選手が長時間にわたる熱闘の末、2位・3位に入賞。両選手は帰国後、互いの健闘をたたえるため、銀メダル・銅メダルを2つに切断してつなぎ合わせて記念にしたというのは有名なエピソードです。彼らが使っていたのも竹のポールでした。その後、金属のポールも使われましたが、記録はやはり4m台にとどまっていました。

棒高跳びの世界最高記録は、長らくS・ブブカ選手が1994年に樹立した6m15でしたが、2014年にR・ラビレニ選手が2cm上回る6m16を達成しました。これは2階建て住宅の屋根ほどの見上げるような高さです。ポールにグラスファイバーやカーボンファイバーが採用されてから棒高跳びの記録は飛躍的に伸びました。とはいえ6m超の記録はめったに出るものではありません。ポール素材のパワーが、すぐれた身体能力によって最大限に引き出されたとき、6m超という大跳躍が生み出されるのです。

グラスファイバー製のグラスポールが登場して棒高跳びに大革命が訪れるのは1960年代の初頭です。 グラスファイバーとはガラス繊維のことで、それを用いた材料をGFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)といいいます。これはガラス繊維を熱硬化性プラスチックなどの中に分散して成型・硬化させたものです。
竹はしなやかですが、曲げていけば、ついには折れてしまいます。しかし、 GFRP製のグラスポールは360度曲げても折れることはありません。しなやかさの具合を細かく調整して製造することもでき、棒高跳びのポールに最適の素材として採用されたのです。

こうして、それまで、高さの限界といわれていた16フィート(4m87)が、1962年にグラスポールによってクリアされるや、1963年には5mも突破。その後もどんどん記録が塗り替えられ、1985年にはS・ブブカ選手によって6mの高さを超えるまで至りました。用具の素材がこれほど記録に影響を与えた陸上競技の種目は、棒高跳びをおいてほかにありません。

体操競技の要素もある棒高跳びの跳躍

棒高跳びでは助走による運動エネルギーを、ポールのたわみに伝えて踏み切り、ポールがまっすぐに戻る反発力を利用しながら、身体を上昇させて倒立姿勢に変えていきます。このとき、ポールを両腕でかかえこむようなL字型の姿勢となるので、これをL姿勢といいます。このL姿勢から腕を伸ばしながら身体をひねり、ポールがまっすぐに戻るタイミングを見はからって、ポールを突き放してバーを越えます。これが棒高跳びの一連の動作です。

スローモーションの映像で見ればわかりますが、棒高跳びには助走時の加速や力強い踏み切りのほか、体操競技のような要素もあり、腕の筋力や身体のさばきなどのテクニックも求められます。実際、棒高跳びのトレーニングには、短距離走や踏み切り練習はもちろん、鉄棒、吊り輪、トランポリンなどのメニューも組み込まれています。

異なる素材を同時焼成するLTCC製品の多彩な展開

棒高跳びのポールにはカーボンファイバーによるCFRP(炭素繊維強化プラスチックス)も用いられます。 金属よりも軽く高弾性で、耐熱性にもすぐれ、航空・宇宙機器などにも多用されている素材です。

GFRPやCFRPなど、いくつかの素材を組み合わせた材料を複合材料といいます。積層セラミックコンデンサや積層インダクタなどの積層チップ部品も、誘電セラミックスやフェライトと金属導体との組み合わせで製造されますが、より高度な技術が求められるのは、高周波製品・モジュールなどの製法であるLTCC(低温焼成多層基板)工法です。これはコンデンサやインダクタ、フィルタなどの複数の素子を、ガラスセラミックスの多層基板の中に高密度に組み込んで、小型化・高機能化を図る積層工法です。

TDKのLTCC工法が誇るのは、特性の異なるシートを積層して同時焼成する技術をいちはやく確立して発展させてきたことです。これを異材質同時焼成技術と呼んでいます。たとえば、通信機器に使用される高周波製品・モジュールなどでは、異なる誘電率のシートが積層されるため、さまざまな問題が持ち上がってきます。たとえば、誘電体シートの熱膨張係数が異なると、焼成によって反りなどが発生してしまいます。そこで、TDKでは微量添加物を加えて誘電体シートの熱膨張係数をそろえるなどの技術を投入して、こうした問題をクリアしています。

多機能化・高機能化・小型化が求められるウェアラブルデバイスやIoTデバイスにおいても、電子部品のモジュール化が、今後いちだんと進むと予測されています。 蓄積した素材技術・ファイン積層技術・高周波回路設計技術の結晶ともいえるのがTDKのLTCC製品です。超高速・大容量の5G通信の基地局向けに、LTCC工法を生かした AiP(アンテナインパッケージ)構成の複合デバイスも開発しました。

《5G通信の基地局向け“LTCC AiPデバイス”》

TDKの“LTCC AiPデバイス” は、複数(4×4)のアンテナ素子とBPFなどの回路をLTCC多層基板の中に一体化したAiP(アンテナ・イン・パッケージ)構成の複合デバイスです。
低誘電率LTCC材料の採用により、ミリ波帯での優れた低損失特性を実現。耐環境特性、放熱性、設計・評価の柔軟性にもすぐれ、5G通信基地局用の高利得で指向性にすぐれたアレイアンテナに最適です。
 

LTCC AiPデバイス (チップアンテナ)
https://product.tdk.com/info/ja/products/rf/rf/antenna/index.html

棒高跳び 競技概要(英語サイト)
https://www.iaaf.org/disciplines/jumps/pole-vault

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