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 トップページ電気と磁気の?(はてな)館 > No.17 圧電セラミックスのマルチ・パフォーマンス
電気と磁気の?(はてな)館

圧電セラミックスのマルチ・パフォーマンス

赤外線センサに使われる焦電体は圧電体の一種
 圧電効果はフランスのキュリー兄弟(兄ジャック、弟ピエール)により、1880年、 電気石(でんきせき)という鉱物において発見されました。ちなみに、のちに弟ピエールと結婚したのがポーランド出身のマリー・スクロドフスカ、すなわちキュリー夫人です。一般にはキュリー夫人のほうが有名ですが、夫のピエール・キュリーは磁性体の研究などでもすぐれた業績を残した大学者です。
 電気石には熱したのち冷えると、チリや灰などを吸い寄せる性質があることが知られていて、“セイロン磁石”とも呼ばれていました(セイロンは現スリランカのこと)。昔はものを引き付ける不思議な性質をもつものには、“磁石=マグネット”の名がつけられていたようです。
 電気石がチリや灰を吸い寄せるのは、静電気のような電荷が表面に現れることによるものです。熱することで発生するこの電気は、焦電気とかピロ電気(ピロは“火”を意味するギリシア語)といいます。圧電気とは発現の仕方が異なりますが、おおもとは同じで、ともに結晶内部の電気的な分極作用によって起こる現象です。
 電気石のような圧電性や焦電性を示す物質の多くは、ペロブスカイト型と呼ばれる結晶構造をもっていて、[ABO3]という化学式で表されます(A、Bは陽イオン、Oは酸素イオン)。このタイプの結晶はある温度(結晶構造が転移するキュリー温度)以上では、中心に陽イオンBが位置した対称構造をもっていて、電荷は中和されています。ところが、その温度以下では対称性が崩れ、プラス、マイナスに分極して圧電性や焦電性を示すようになります。電気石も室温状態で分極しています。通常は空気中のイオンなどと結びついて中和状態となっていますが、熱すると分極の大きさが変わり、チリや灰などを吸い寄せるのです。

ペロブスカイト型結晶(ABO3)の分極

インクジェットプリンタ用ヘッドの積層型圧電アクチュエータ
 圧電現象は電気石に続いて水晶やロッシェル塩などの結晶においても確認され、のちに多結晶体であるセラミックスにおいても発見されました。圧電セラミックスは粉末原料を成型・焼成して製造される多結晶体であり、焼成したばかりの段階では外部に分極を示しません。というのも、結晶粒の自発分極はバラバラの方向を向いているため、全体では打ち消しあっているからです。そこで圧電セラミックスには分極処理という特殊な工程が必要になります。キュリー温度以上に加熱して外部から電界を加え、ゆっくりと冷やしていくという工程です。これによって結晶粒の自発分極は一方向にそろい、多結晶体全体が分極方向をもつようになります。
 圧電セラミックスに外部から電圧を加えると外形が変形します。また、交流の電界を加えると振動を始めます。これを利用したのが圧電振動子で、電子ブザーや圧電スピーカ、超音波発生装置などに用いられます。また、圧電体は外部から加える電圧によりサブミクロンオーダーの寸法変化も実現できるため、高精度な位置制御装置ほか、インクジェットプリンタのプリントヘッドにも利用されています。蓄積したファイン積層工法を圧電セラミックスに展開、圧電セラミックス層と内部電極層を交互に積層して一体焼結したのがTDKの積層型圧電アクチュエータ。デジカメ写真のカラープリントなど、高精細なインクジェットプリントに大きく貢献しています。

分極処理と圧電効果の発現のしくみ

圧電式インクジェットプリントヘッドのしくみ(例)

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