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電磁調理器にも利用される“渦(うず)電流”とは?
東京・上野の国立科学博物館では、ワイヤの長さ19.5m、金属球の重さ約50kgという巨大振り子の運動が展示されています。考案者の名をとって“フーコー振り子”と呼ばれるもので、地球の自転を初めて目で確認した装置として知られています。
フーコー振り子の振動面(重りとワイヤの運動方向)は、時間とともに時計回り(北半球)に回転していきます。ではなぜ、これで地球の自転が証明できるのでしょうか?
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■ 地球の自転を目で確認できる“フーコー振り子” |
フーコー振り子の振動面の回転は、直観的にはわかりにくいものですが、宇宙からの視点で考えるとよくわかります。たとえばフーコー振り子を北極点に設置したとします。宇宙から眺めると振り子の振動面は一定ですが、観測者のほうは地球といっしょに回転するので、観測者からは振り子の振動面が回転するように見えるのです。振動面は北極点では1日に1回転し、緯度が下がるとともに回転の大きさは小さくなり、赤道上ではゼロとなり、南半球では反時計回りに回転するようになります。
フーコーは渦(うず)電流の発見(1855年)でも知られ、渦電流はフーコー電流とも呼ばれます。渦電流とは磁界変化の中に置かれた金属などの導体に生じる渦状の電流のことです。渦電流による作用は、簡単な実験で確かめられます。図のように、銅やアルミなど、磁石に吸いつかない金属円板をつくり、その上で磁石をすばやく回転させると、銅円板もそれにつられて回転を始めます。逆に銅円板を回転させておいて、磁石を近づけると回転にブレーキがかかります。
この現象はファラデーによる電磁誘導の発見以前の1824年にアラゴにより発見され、“アラゴの円板”と呼ばれていました。ファラデーもアラゴの円板に触発されて、電池で駆動する回転装置(ファラデーモータ)を考案しました。実用的なものではありませんが、これが世界最初のモータといわれています(そのしくみは、本シリーズ・第4回「手回し発電機にみるハイテク今昔物語」をご参照ください)。
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