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 トップページテクの雑学 > 第50回 アイドリングストップもエンジンまかせ −スマートアイドリングストップシステム−
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アイドリングストップもエンジンまかせ −スマートアイドリングストップシステム−

アイドリングストップ機構のしくみ
 ここで登場するのが、なるべくデメリットを減らすため、車両側で状況を判断し、自動的にアイドリングストップ/エンジン再始動を行なう「アイドリングストップ機構」を備えよう、との発想です。すでにバスやタクシーなど公共交通機関では、アイドリングストップ機構を組み込んだ車両が増加中です。一般ユーザー向けのクルマでも、トヨタ・プリウスなど、通常のエンジンと電気モータを組み合わせたパワーユニットを搭載するハイブリッド車は、標準でアイドリングストップ機構を備えています。
 ハイブリッド車は、発進から30km/h程度までの加速には電気モータを主な動力源として走行します。この0〜30km/h程度の間は、特性上、エンジンが比較的苦手とする領域で、逆に電気モータが得意とする領域であることが、燃費向上に大きく貢献するのですが、実はそれと同程度にアイドリングストップも貢献している、といった見解もあります。

 アイドリングストップ機構は、車速が20km/h程度以下になると動作の準備を始め、以下のような条件が揃った時に、自動的にエンジンを停止します。
  • 車速が0km/hであること
  • マニュアル・トランスミッション車の場合、ギア位置がニュートラルになっていること
  • オートマチック・トランスミッション車の場合、セレクター位置がPかNであること
  • ブレーキランプが点灯していること
  • その状態が一定時間以上継続していること
 アイドリングストップ状態から自動的にエンジンを始動する場合、マニュアル車はクラッチを踏む、オートマ車はセレクターレバーをDなどの位置に動かすことがトリガーとなり、自動的にセルフスタータ・モータが稼働してエンジンを始動します。

 機構によっては、エアコン動作時や、バッテリの状態が良くない場合にはアイドリングストップしないようにプログラムされている場合もあります。動作/非動作のための条件は融通無碍に設定できますから、残る問題はセルフスタータとバッテリの負担増ということになります。
 この問題を解決するため、マツダがたいへんユニークな仕組みを公案しました。「スマートアイドリングストップシステム」と命名されたこの仕組みは、エンジン始動のためにセルフスタータ・モータを使わず、エンジン自体の力を使うという、コロンブスの卵的な発想に基づいています。

スマートアイドリングストップシステムの作動原理 1・再始動開始

スマートアイドリングストップシステム
 4気筒エンジンの場合、4個あるシリンダーは、1個が圧縮行程、1個が膨張行程、残りの2個が吸気/排気行程というサイクルを繰り返しています。エンジンを停止させる際、圧縮行程にあるシリンダーと膨張行程にあるシリンダーの空気量をだいたい同じになるようにバランスさせておくのが、このシステムの最初のポイントです。ちょうどいいところに止めるためには、減速中にスロットルバルブを繊細に制御しておくことが要求されます。つまり、スロットル・バイ・ワイヤ技術が活躍するところです。
 狙い通りの位置にピストンを止められたら、圧縮行程にあるシリンダー内部に少量の燃料を噴射しておきます(つまり、直噴ガソリンエンジンであることも条件になります)。

スマートアイドリングストップシステムの作動原理 2・逆回転

 エンジンを始動させるモードに入ったら、圧縮行程にあるシリンダーの点火プラグに着火します。するとエンジンのクランク軸は逆方向に回転することになります。この時にどの程度の角度を逆回転させるのかが、この技術のふたつめのポイントで、電子制御技術が活躍する部分となります。また、この段階で膨張行程にあるシリンダー内部に燃料を噴射しておきます。

スマートアイドリングストップシステムの作動原理 3・正回転開始

 膨張行程にあるシリンダーの内部は、クランク軸の逆回転によって行程が少し戻り、内部の圧力が少し高まります。その状態で点火プラグに着火してやると、シリンダー内部で爆発が起こり、クランク軸は正方向に回転を始めます。ここまで来たら、あとは通常の行程でエンジンを回転すればいいわけです。
 ブランコをイメージすると、理屈がわかりやすいかもしれません。ブランコに座ったら、最初に脚の力でブランコごと身体を後方にずらしますよね? その状態で地面から脚を離すことで、ブランコは前方向に進んでいくわけです。
 行程を細かく説明するとなにやら複雑そうに思えますが、一連の行程は約0.3秒の間に行なわれます。ドライバーがブレーキペダルから足を離し、アクセルを踏む時には、すでにエンジンが始動していますから、たいへん自然な感覚で扱えます。

 スマートアイドリングストップシステムは、エンジン本体にほとんど手を加えることなく、センサ類の追加とエンジン制御用コンピュータの対応によって自然なアイドリングストップを実現できる点が画期的です。また、セルモータを回さずにエンジンが始動できますから、再始動時にモータの動作音や振動を感じることもなく、非常に自然な感じで運転できる点も見逃せないメリットで、市販車への採用が待ち遠しい技術のひとつと評価できます。


著者プロフィール:松田勇治(マツダユウジ)
1964年東京都出身。青山学院大学法学部私法学科卒業。在学中よりフリーランスライター/エディターとして活動。
卒業後、雑誌編集部勤務を経て独立。現在は日経WinPC誌、日経ベストPCデジタル誌などに執筆。
著書/共著書/監修書
「手にとるようにWindows用語がわかる本」「手にとるようにパソコン用語がわかる本 2004年版」(かんき出版)
PC自作の鉄則!2006」「記録型DVD完全マスター2003」「買う!録る!楽しむ!HDD&DVDレコーダー」など(いずれも日経BP社)


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