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 トップページテクの雑学 > 第53回 たまには夜空をながめてみよう −天体望遠鏡の仕組み−
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たまには夜空をながめてみよう −天体望遠鏡の仕組み−

星を追いかけるのに必要な架台
 天体望遠鏡を使ってはじめて天体観測をする人がよく困るのが、「見たい星がどこにあるのか分からない」ということです。天体望遠鏡の視野(見える範囲)は倍率が高いものほど狭くなります。望遠鏡を目当ての星に向けたつもりでも見えない、というのは、実は視野の中におさまっていないからなのです。

 視野を合わせるために使うのが、「ファインダー」と呼ばれる小さな、倍率の低い望遠鏡です。ファインダーは、望遠鏡の鏡筒と並行になるように固定して使います。ファインダーは倍率が低く視野が広いので、まずこれで目当ての星を見つけて視野の中央に入れて、望遠鏡本体をのぞくと、高倍率で観測することができます。

 ところがもう一つ問題があります。地球は自転しているので、時間が経つにつれて星は動いていきます。つまり、地球の自転速度に合わせて、望遠鏡の向きを少しずつ変えなければ、一つの星を長時間見続けることはできないのです。

 星の動きに合わせて望遠鏡を動かしていくことを「追尾」といいます。特に、写真を撮影するときには、弱い光をとらえるために長時間シャッターを開放して露光し続ける必要があるので、追尾の仕組みは欠かせません。天体望遠鏡を支える「架台」は、追尾のための仕組みを備えています。架台には経緯台と赤道儀の2種類があります。

 経緯台は、望遠鏡を垂直方向と水平方向の2方向に動かすことで視野を移動し、追尾する方法です。構造が簡単で扱いやすいのですが、モータが2つ必要なので、動作が複雑になります。

 赤道儀は、あらかじめ軸を天の北極の方向に向けておき、地球の自転速度にあわせて望遠鏡を回転する仕組みです。モータが一つですむので動作が簡単ですが、構造が複雑なことと、望遠鏡が大きく傾くためバランスをとるためのおもりが必要となり、あまり大きな望遠鏡が乗せられないという欠点があります。

赤道儀の仕組み 極軸を天の北極の方向に合わせて、赤経軸と赤緯軸を回転して星を視野に入れる。一度調整ができたら、極軸を中心に回転するだけで自転による星の動きに追尾できる

 最近の架台は、一度望遠鏡を目的の天体に向けた後は、コンピュータ制御で自動追尾を行えます。コンピュータ制御であれば、経緯台の複雑な動作も全く問題なく、正確に行うことができます。そのため、すばる天文台をはじめとする、天文台の大きな望遠鏡は経緯台式の架台を採用するケースが増えています。

新しい天体の発見には写真が大事!
 新しい天体の発見というと、最新の技術が使われていると考えられがちですが、そんなことはありません。高倍率の望遠鏡と架台を使って、空の同じ場所の写真を何日も連続して撮影し、動いている天体や明るさの変わる天体がないかを根気よく人の目で探していくのです。

 望遠鏡の倍率が大きくなり、暗い天体の写真を撮影できるようになりましたが、やっていることは昔から変わりません。全く同じ作業を経て、1930年にアメリカのクライド・トンボーが発見したのが、冥王星でした。

 冥王星は発見時から太陽系の第9惑星として扱われてきましたが、その性質は他の8つの惑星とは大きく異なっていました。公転軌道が極端な楕円形を描いており、しかも傾いていること、極端に小さいことなどから、これを惑星として認めるかどうかという議論は昔からありました。

 これを見直す大きなきっかけとなったのが、2005年1月にマイケル・ブラウン、チャドウィック・トルヒージョ、デイヴィッド・ラビノウィッツによって発見された「2003 UB313」です。名前の「2003」は、2003年に撮影された写真から発見されたことに由来しています。

 2003 UB313は冥王星よりも遠い軌道を描いて太陽の周りを回っており、しかも冥王星よりも大きいことから、これを太陽系第10惑星として認めるかどうかという議論が科学者の間で起こりました。実はそれまで、惑星の学術的に明確な定義は存在しておらず、2003UB313を惑星として認めると、際限なく惑星が増えていくのではないかという可能性が指摘されたのです。

 2006年8月の国際天文学連合(IAU)総会で、惑星とは何かが明確に定義され、その結果、冥王星は惑星ではなく「矮惑星」という新たなカテゴリーの天体に分類されることになりました。この決議がされたときに矮惑星とされたのは、冥王星、2003UB313、小惑星ケレスの3つであり、他に14個の天体が矮惑星の候補として挙がっています。

 惑星ではなくなっても、冥王星が太陽系を構成する天体であり、科学的に重要な知見をもたらしてくれる存在であることには変わりがありません。大きな望遠鏡ができることで、さらにまた新しい太陽系の仲間が見つかるかもしれませんね。


著者プロフィール:板垣 朝子(イタガキアサコ)
1966年大阪府出身。京都大学理学部卒業。独立系SIベンダーに6年間勤務の後、フリーランス。インターネットを中心としたIT系を専門分野として、執筆・Webプロデュース・コンサルティングなどを手がける
著書/共著書
「WindowsとMacintoshを一緒に使う本」 「HTMLレイアウトスタイル辞典」(ともに秀和システム)
「誰でも成功するインターネット導入法—今から始める企業のためのITソリューション20事例 」(リックテレコム)など


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