|
 |
第66回「ロウソクの炎と磁石」の巻
|
ロウソクの炎は磁石の磁界に応答する
燃え立つロウソクの炎の横から、強力な磁界を加えると、どうなるでしょうか? 不思議なことに、立ちのぼっていた炎は、磁界に押しつぶされて横にたなびきます。これはロウソクの炎が反磁性体だからです。
磁石に吸着する物質を強磁性体(あるいは単に磁性体)といい、それ以外の物質は一般に非磁性体と呼ばれます。しかし、あらゆる物質は何らかの磁性をもっています。外部磁界の方向に弱く磁化される性質は常磁性といい、磁界と反対向きにごく弱く磁化される性質は反磁性といいます。
1845年、ファラデーは王立研究所で自作した強力なU字型電磁石を用いて、初めて反磁性という現象を発見しました。U字型電磁石の磁極の間にガラス片を吊るして、電流のスイッチを入れたところ、ガラス片がわずかに動いたのです。
物質の磁性のほとんどは電子の自転(スピン)に伴うスピン磁気モーメントに起因します。簡単にいえばスピン磁気モーメントがバラバラの方向を向いた状態が常磁性であり、整列した状態が強磁性です。一方、電子の軌道運動などによっても磁界が生じます。反磁性は主にこの電子の軌道運動が関与します(金属の場合は伝導電子=自由電子の運動が関与していて、ランダウ反磁性と呼ばれます)。電子の軌道運動のような環電流をもつ物質に外部磁界を加えると、外部磁界を打ち消す方向に磁界が誘起されます(レンツの法則)。この磁気的分極が反磁性の正体です。
身の回りのあらゆる物質は軌道電子あるいは自由電子をもつので、潜在的に反磁性体ということになります。ただし、反磁性が確認されるのは、強磁性や常磁性といった電子のスピン磁気モーメントの効果が少ない物質にかぎられます。
図1 強力な電磁石の磁界によるロウソクの炎(反磁性体)の変化
|
(2)
|
|